前倒し始動で五輪本大会での逆転選出を狙う。J2札幌のMF荒野拓馬(22)が12日、札幌市内の屋内施設で始まった若手練習(24歳以下)に参加した。昨年末30日までU-22日本代表候補合宿に参加していたため、クラブから14日の全体始動までオフを与えられていたが、志願の参加。直前でのリオデジャネイロ五輪アジア最終予選メンバー落ちの悔しさを晴らすため、1日でも早く動きだし、雪辱につなげる。

 U-23日本代表の仲間がカタールで臨戦モードの中、荒野は極寒の故郷札幌で16年のスタートを切った。11日にジムで体を動かし、この日が初蹴り。年末まで9日間の代表合宿を消化した荒野と櫛引は、13日までオフにあて、明日14日の全体練習で合流すればいいというのが、クラブの指示だった。それでも「うずうずしていた」と、自主的に2日前の若手練習初日から加わり、巻き返しへの1歩を踏み出した。

 今日13日に、同代表はリオ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア選手権の初戦、北朝鮮戦に臨む。望む舞台には立てなかったが「(W杯フランス大会前の)カズさんじゃないけど、自分も(手倉森ジャパンの)魂は向こうに置いてきた。だから札幌から応援したい」とエールを送った。試合時間の日本時間午後10時半は予定があり生観戦できないが「録画して、しっかり見る」と戦友たちの奮闘を見届け、刺激にする。

 落選から約2週間。「(石垣島合宿最終日の12月)30日の発表から、もう気持ちは切り替わっている」と言う。オフが少なかったため、同合宿翌日の12月31日から1月10日まで完全休養で、疲労を取り除いた。「ほとんど何もしていなかった。体をしっかり休めて、キャンプに備えたいので」。心も体もリフレッシュし、18日に始まる沖縄1次合宿に全力で臨む。

 五輪本番に向け、今できることは1つしかない。「今回は代表には漏れてしまったけど札幌でしっかりやっていればチャンスは来る。自分はここ(札幌)からアピールしていく」。ゲーム形式の練習では早くもゴールを決め「今年はもっている」と前を向いた。へこんでいる暇はない。逆境をバネに、五輪本大会出場、J1昇格のダブル目標へと、突き進む。【永野高輔】