帝王学、伝授! 仙台のMF佐々木匠(18)が宮崎・延岡キャンプ7日目の10日、MF梁勇基(34)から金言を受けた。「将来、梁さんから背番『10』を継ぎたい」と意気込む期待の高卒ルーキーは、入団後初めて2人きりの時間をゲット。澄み切った延岡の空の下で大先輩と貴重な時間を過ごし、未来への飛躍を誓った。

 「ボール蹴ろうや」。居残りFK練習を終えた梁が佐々木に歩み寄った。しばらくパス交換をした後に、ベガルタの背番「10」と未来の「10」佐々木が青空面談を始めた。初めは2人の間にボール1つを挟み、キックについて技術を伝授する。

 「インパクトはもっと強く、速いボールを蹴れるように」「受ける側を考えて高さも意識するとよい」(梁)。憧れの大先輩からのアドバイスに、佐々木は一語一句を聞き逃すまいと、真剣に聞き入った。キックの精度を上げることは、今キャンプで佐々木が課題としてきたこと。それを梁は、余すことなく伝授した。佐々木は「分かってくれている気がして本当にうれしかった。もっと練習したいって思います」と目を輝かせた。

 「プロでは公式戦と練習試合の雰囲気は全く違うよ。そこでチャレンジできるか弱気になるか。お前は失うものはない。ならばチャレンジした方がよい」(梁)。まだ1年生の佐々木に、すでに梁は大きな期待をかけている。帰り際、梁は「タクミ足短いな~ってからかってたんすよ(笑)」と冗談でけむに巻いたが、しっかりと身になるアドバイスをおくっていた。

 梁の言葉に感銘を受けた佐々木は、引き締まった表情で、こう切り出した「『もっと自分を出せ』とも言ってもらえた。今後、俺はこんなもんじゃないって、もっとアピールしていきたい」と、佐々木の心に熱いものが宿ったのは、確かであろう。新シーズンが始まれば、ともにピッチで躍動する日が来る。佐々木は梁の背中を追い続け、いつの日か超えてみせる。【成田光季】