ドイツ1部アウクスブルクへの完全移籍が決まったG大阪FW宇佐美貴史(24)が、日本のエースとして18年W杯ロシア大会を目指す。21日、本拠地の市立吹田スタジアム内で会見し「主力として日本を引っ張っていく選手になる」と宣言した。FW本田圭佑(30=ACミラン)の助言で今回の移籍を決断。2度目の欧州挑戦で、再びビッグクラブへと羽ばたく決意も明かした。

 移籍が決まった満足感と、未来への希望。壇上に立った宇佐美は会見中ずっと笑顔だった。テレビカメラ12台、報道陣約50人。19歳でBミュンヘンに期限付き移籍した5年前は緊張した表情だったが、今回は自信に満ちあふれていた。

 「前回は経験をしに行った。今回は完全移籍で人生を懸けた再挑戦。失うものも大きいが、得るものもある。向こうで活躍して、主力として日本を引っ張る選手にならないといけない」

 5月中旬に1通のメールが届いた。同じG大阪下部組織出身で日本代表でも先輩の本田からだった。ちょうどアウクスブルクから獲得の打診を受けた時期。「欧州に出ていろんな刺激を受けなアカン」-。宇佐美自身、欧州再挑戦へ気持ちが傾いていたが、あらためて背中を押してくれた。

 「圭佑君には昨年からずっと『どうすんねん』と言われ続けた。このままガンバで順風満帆でいるよりは(欧州に)行って爆発的に成長するか、ボロボロになって(日本に)帰ってくるか。そっち(移籍)の賭けの方が面白いと思った」

 アウクスブルクは韓国代表3選手が在籍。広島のU-23(23歳以下)日本代表FW浅野にも正式オファーを出している。宇佐美は4年契約、推定年俸1億円と好条件での移籍だが、定位置確保は容易ではない。それでも覚悟はある。

 「まずは結果を出す。そうすればビッグクラブにもう1度挑戦できる。欧州で成功して、日本を背負う覚悟はあります。圭佑君、真司君(香川)、岡ちゃん(岡崎)。そういう選手を超える存在感を出したい」

 25日名古屋戦(ホーム)がG大阪でのラストゲーム。今月中に渡欧予定だ。W杯で活躍する夢を抱き、旅路につく。【益子浩一】

 ◆宇佐美貴史(うさみ・たかし)1992年(平4)5月6日、京都府長岡京市生まれ。G大阪ジュニアユースから高2(09年)でトップに昇格。11年7月にBミュンヘン、12年5月にホッフェンハイムに期限付き移籍。13年途中でG大阪復帰。国際Aマッチ通算16試合3得点。178センチ、69キロ。

 ◆アウクスブルク バイエルン州を本拠として1907年創設。下部リーグを行き来し、主要タイトルなし。元日本代表MF細貝が在籍した10-11年に2部で2位となりクラブ史上初の1部昇格。ブンデスでの最高成績は14-15年の5位で、昨季は9勝11分け14敗で12位。MFク・ジャチョルら3人の韓国代表が在籍。新シーズンからディルク・シュスター新監督が就任。本拠地はWWKアレナ(3万人収容)。