川崎Fは勝ち点1及ばなかった。腰と背中の痛みが回復し先発復帰したMF中村憲剛が、1得点1アシストと活躍したが、念願の初タイトルには届かなかった。だが、選手に落胆の色はない。中村は「2位は残念だけど、ここまで来られたのは自信につながった。第2ステージは一からやり直し。でも勝ち点38と培った自信は消えない」と前を向いた。

 昨季までは主力が離脱すると、チーム力が一気に下がり、昨季は2度の3連敗があった。だが、今季はFW小林やMF大島が欠けても勝ち点を手にし、連敗も、2試合続けての引き分けもなかった。主力と控えの差は縮まり、前半22分に先制点を決めたFW大塚のように、大抜てきされて活躍する選手も出てきた。中村も「ベテランがガミガミ言わなくても若手が変わって、頼もしくなってきた。あとは質を高めるだけ」と、底上げに手応えを感じている。

 引き分けに終わり、首位を明け渡した前節18日の福岡戦で、DF谷口、車屋ら若手がタイトル争いの雰囲気を味わえたことも収穫だった。風間監督も「福岡戦は最初の15分、目に見えないものを相手にしてしまった。でも、もう見えたから。どんどん見えないものはなくなっている」と話す。この日はクラブ史上最高の2万6612人を動員した。初栄冠を心待ちにしているファンのためにも、悔しさを糧に新たな戦いへ向かう。【岩田千代巳】