主将が敵地ゴールをこじ開ける。J2札幌MF宮沢裕樹(27)が14日、明日16日のアウェー愛媛戦での勝利を誓った。今節愛媛、次の22日東京V戦に連勝すれば、3、4位チームの結果次第で最短23日にJ1昇格が決まる。敵地では最近4試合勝ちなしも、宮沢が敵地で得点した試合は6戦全勝。10番の「アウェー全勝神話」で壁を打ち破り、クラブ最速となる5戦残しでの早期昇格につなげる。

 道産子主将初のJ1昇格は、自身の力で引き寄せる。愛媛戦に向け宮沢は「キャプテンとして、チームが厳しいときに点を取り、勝利につなげられるようなプレーをしたい」と気を引き締めた。北海道出身の主将は04年のDF佐藤尽(現京都コーチ)以来2人目で、同年はJ2初の最下位に終わった。北海道大谷室蘭高の先輩が成しえなかったJ1への扉を、自らこじ開ける。

 前節水戸戦は、非公開で行われた前日7日の練習中に左足首を捻挫した。痛み止めの薬を飲み、注射を打って強行出場。100%の状態ではなかったが、0-0の前半5分、痛めた左足を振り抜き、FWヘイスの決勝点をアシストした。連休中に炎症も痛みもひき、状態は万全だ。連続でのゴール演出へ「もう痛みも取れたし大丈夫。90分しっかりプレーしたい」と意気込んだ。

 愛媛討ちのイメージはできている。ホームで対戦した3月13日、がっちり網を張る相手守備にてこずるも前半41分、自らのスライディングでのパスカットからFW都倉につなぎ、MFジュリーニョの先制点を呼んだ。追い付かれドローも「守備が堅いので、ブロックをつくられる前にカウンターを仕掛けられれば」とヒントは見いだしている。四方田体制では現J2唯一未勝利の愛媛だが、ボランチでの積極的なボール奪取で、網に穴を開ける。

 チームとして4戦勝ちなし無得点のアウェーだが、悲観はしていない。「アウェーでも最低限、勝ち点1を取れている。それを勝ち点3にするには、最後の質を上げていくこと」と勝利へのカギを挙げた。10番が決めればアウェー全勝という好データも後押し。最短23日の昇格決定を果たすため、精神的支柱がアシスト、ゴール両面でフル稼働する。【永野高輔】