名古屋の会長を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長(60)が最終戦を観戦した。

 クラブ初のJ2降格が決まり「チームに実力がなかった。残念な結果になってしまった」と肩を落とした。昨年4月に名古屋の会長職に就いたが「私の会長としての勝率は悪い。2割台だと思う」と責任も痛感した。

 今年4月、トヨタ自動車は名古屋を子会社とした。累積赤字に苦しむ名古屋の持ち株比率を2割強から5割超に引き上げ、経営への関与をさらに強めた形となった。クラブの財務体質は改善され、「世界一」のトヨタのもと経営的な「安定」を手に入れた。戦力の向上を目指した矢先の降格だった。

 名古屋にはトヨタ自動車のグループ企業などが出資する。地元大企業から安定支援される一方で、古くからクラブの「甘え体質」を指摘されることもあった。

 「世界のトヨタ」を率いる豊田社長は今後の支援について「チームが生まれ変わらない限り、スポンサー企業としての(トヨタの)出資も見直さなければいけない」と厳しい表情を見せた。同社長は元ホッケー日本代表でスポーツへの思い入れが強い。クラブ初のJ2での戦いに「雑草のような強さが必要となる。みんなが心を1つにしていきたい」。名古屋の再生のため、トヨタグループが脈々と受け継ぐ生産性を向上させる「カイゼン」が導入されなければならない。