「静岡PRIDE」第3弾のテーマは、新背番号10。Jリーグが固定背番号制を採用した1997年(平9)以降、MF中村俊輔(38)が、ジュビロ磐田の4代目10番になった。静岡県外出身選手では、初めてエースナンバーを付けてプレーする。

 プロ21年目を迎えたMF中村俊は23日、磐田市の大久保グラウンドでの練習後、開幕直前の思いを率直に話した。「もう若くないから、常に気持ちを入れていたらもたない。もちろん湧いて来るものもあるけど、冷静にいられている」。

 横浜から完全移籍で加入した今季、導かれるように10番を託された。過去2年、チームで10番を志願した選手はいたが、名波浩監督(44)は認めずに空き番号になっていた。「ふさわしい」と思えなかったからだ。その中で、自分の理想のサッカーを実現してくれる中村俊を求めて獲得に成功。指揮官は「これも縁」と言い、文句なしで10番を提供した。

 6月24日で39歳になる中村俊も、役割を分かっている。「チームがダメな時にどう奮い立たせられるか。今までは自分のスイッチが入れば良かったけど、今年は話し合っていこうと思う。新しいチームだからこそ、いっぱい確認しながらやっていきたい。そうすれば、ミスをしても反省がしやすくなる」。

 この日は、全体練習後には黙々とFKの調整に励んだ。感覚を確かめるように30本。21本をゴールの枠内に飛ばし、9本を成功させた。「選手の癖も分かるし、毎日手応えはある。個人的にも練習メニューも変わって、新たな発見がある。後はグラウンドで結果を残すだけ」。

 振り返ると、磐田の10番は、藤田俊哉(45=静岡市)成岡翔(32=島田市)山田大記(28=浜松市)と静岡県出身者が付けてきた。だが、中村俊には、周囲にその伝統にこだわらせないほどの魅力がある。4代目10番が、25日から磐田新時代を刻み始める。【前田和哉】