浦和レッズが昨年の韓国王者、FCソウルにACLクラブ最多の5点を浴びせて2連勝とし、F組首位に立った。FW武藤雄樹(28)は先制点で猛攻の火を付け、1得点1アシストの活躍。今季ホーム初戦を前半だけで5点のゴールラッシュで飾り、昨年の決勝トーナメント1回戦で競り負けた相手にリベンジした。ACLでは2戦9発と絶好調。勢いに乗り、次節は15日にアウェーで上海上港(中国)と対戦する。

 今季初のホームで5発の「花火大会」を開催した。着火は前半9分、武藤だった。ペナルティーエリア手前からFW興梠が右のスペースへ持ち込み、折り返しをフリーになって頭で合わせた。6分後にはドリブルで左から右へスペースを切り裂き、MF関根のゴールを演出。大勝に貢献しても「2試合が終わっただけ」と暴れ足りない様子だった。

 武藤とともに前線に立つFW李、興梠の「KLMトリオ」で最年長31歳の李は、武藤のゴールへの貪欲さに敬意を払い、「彼はどんよ君です」と冗談っぽく笑う。3人の中での“末っ子”に「ああいう選手がいることでチームが円くならない。リスペクトしている」と愛情を込めてたたえた。

 高校時代から活躍していた興梠らと武藤は、歩んできた道は違う。年代別の代表経験もない。先輩2人を「昔テレビで見ていた選手です」と敬い、自身については「僕のことをエリートだという人はいない」と語る。ゴール前で待っているだけでは先輩の背中は越えられない。国内トップクラスのクラブで生き残るため、「守備にも組み立てにも参加しながら、ゴールを忘れない」ことが信条だ。この日の5点目は敵陣内で武藤がボールを奪ってからの速攻だった。得点、アシスト、前線からの守備。前半だけで“満点回答”の働きをみせた。

 今季は公式戦での20得点を目標にする。「試合に出ている以上はゴール数も負けたくないし、自分にしかできないプレーで、浦和のエースになりたい」。飽くなき意欲を持つ点取り屋がチームのエンジンになっている。【岡崎悠利】