京都サンガFCの元日本代表DF田中マルクス闘莉王(36)が、東京ヴェルディ戦にフル出場した。

 後半35分にはMF吉野恭平のパスを前線で受けると、走り込んだFWケビン・オリスに落とし、決勝弾をお膳立てした。

 右太もも肉離れから復帰し、ハットトリックを決めた4月15日の愛媛FC戦以降、FWとして出場。チームも4勝4分けと無敗をキープしているが、東京V戦後、この日から試合での登録をFWからDFに戻したと明かした。

 闘莉王 僕はDFですから。FWと思っていないんで。(登録をDFに戻したのは自分の)希望ですし、ずっと長年、DFとしてやってきたので。今は前で使われているかもしれないけれど、いまだに攻撃的DFとしか思っていないです。

 闘莉王の取材に先立って行われた監督会見の中で、布部陽功監督は闘莉王のFW起用について「時限的か、完全なるコンバートか?」と聞かれ、コンバートだと明言。今後もFWとして起用する考えを示唆した。

 布部監督 コンバートです。点を取るために何をすべきか、京都が相手より優位に立てること、強みを考え闘莉王を前線に置いた。練習でも得点感覚、プレーのセンスを感じて起用しています。試合の状況、相手を考えますが変える必要はないかなと考えています。

 闘莉王は、布部監督の発言を伝え聞くと「みんなの起点になる、守備を楽にする、相手に怖さを与えるのは、DFだった時と一緒で、今も変わらない。みんなが楽に伸び伸び出来るように心がけている。監督が何を考えているかも、自分は理解しつつある。どこで出されても大丈夫」とフォア・ザ・チームを強調した。

 この日は30度を超える暑さの中、フル出場した。「足の状態は良くない。ここ2、3試合は100%じゃない。年ですしね…いっぱい、いっぱいですけど、必死にやっているだけ」と苦笑した。

 1点を追うハーフタイムには、選手の間で「ここからが試される。ここで勝てないと俺たちは上にいけない」と互いを鼓舞しあった。その通り、この日の勝利で勝ち点は20の大台に乗り、12位ながら首位アビスパ福岡との勝ち点差は10と上位陣が視界に入ってきた。闘莉王は「常に1番トップを目指してやっている。自分が出ていない時、勝ち点を落とした責任もある。ベスト3のお尻が見えるくらいの位置にいかないといけない」と闘志を燃やした。【村上幸将】