<J1:鹿島4-0札幌>◇第1節◇8日◇カシマ

 三浦札幌が王者鹿島に屈辱的大敗を喫した。6年ぶりのJ1復帰初戦となった開幕鹿島戦でコンサドーレ札幌は0-4と完敗した。1点ビハインドの後半9分には、ボランチの新戦力クライトン(30)をFWとして途中出場させる奇策を用いたものの、かえってチーム全体がバランスを崩し3失点。前回降格した02年と同じ悪夢の4点差敗退という厳しい現実を突きつけられた。ホーム開幕となる15日の次節横浜戦までに、攻守ともに緊急オペが不可欠となった。

 完全な札幌の力負けだった。自身初のJ1開幕戦敗退に、三浦監督は「4失点?

 すべての可能性は想定していたけど…。こういうふうに崩されるのは反省しないと」とぼうぜんとした表情で振り返った。ただの1敗でないことは指揮官が一番分かっていた。

 “ギャンブル”が逆効果となった。0-1で迎えた後半9分にクライトンをFWとして投入し、逆襲を試みた。攻撃面ではJ1のハードなチェックにも屈しない高いキープ力を発揮したが、逆に頼みの守備に大きなほころびが生じた。

 同19分には、アーリークロスをDF鄭が目測を誤り、左サイドに走りこんだ新井場に崩され2点目。25分にはスローインから3点目、終了間際の44分には中央から崩され4点目を献上。前半、中盤まで下がって守備に駆け回っていたFW中山の不在が大きく、ボランチの位置で簡単にボールを回された。結果的にセットプレーで2失点、さらにサイド、中央からの流れで崩され計4失点。チームのよりどころのはずだった堅守が破たんした。

 開幕まで綿密に組み立てられた知将の逆算が、さまざまな要因で狂っていった。負傷者はDFの軸と想定していた曽田をはじめ7選手。厳しい状況に苦悩し、尊敬する父達夫さん(74)にだけは本音を打ち明けていた。熊本合宿終了後、三浦監督から岩手の実家に電話を入れ「ケガ人が多すぎて、開幕からしばらくは我慢しなければいけないかもしれない」と話していた。達夫さんは「息子から弱音を聞いたのは44年間で初めてだった」と打ち明けた。

 「DFは点を取られた後、気持ちが前がかりになってやられただけ。前半は狙い通りの戦いができた」と三浦監督。11勝で勝ち点40をノルマとして掲げる指揮官の計算では、残り23試合16敗までは想定している。「開幕戦敗退=降格」という負のジンクスを、今季こそ覆さなければならない。【永野高輔】