J2山形のFW豊田陽平(22)が、五輪代表での実績を封印した。27日、U-23(23歳以下)日本代表のアンゴラA代表戦で先制点を挙げた豊田は一夜明けた28日午前、東京から山形に戻った。10カ月ぶりの招集で結果を残したが「代表のことは、しばらく考えない」と明言。今日29日の甲府戦(NDスタ)出場を直訴した。今季ホーム初白星に導くゴールを決め、地元ファンに恩返しする。

 雪中の非公開練習が終わった正午前、豊田はクラブハウスに到着した。隣接する体育館のジムで体を動かした後、小林監督に甲府戦の出場を志願した。「昨日の試合が終わってから、甲府戦の準備を始めている。得点を決めてチームを引っ張りたい」。アンゴラ戦終了後、炭水化物を多めに取るなど食事でもエネルギー補給を意識。「疲れてますけど、出してもらえる時間は頑張る」と力を込めた。

 北京五輪代表の座をアピールする1発を決め、注目度はアップ。この日は地元テレビ局などの取材陣に囲まれた。小林監督から「もっと笑った方がいいんじゃないの」と突っ込まれるシーンもあったが、豊田本人に浮かれる様子は、みじんもない。「マスコミに注目されるかもしれないけど自分を見失うのは良くない。代表はしばらく考えないようにして、Jリーグで結果を残したい」。再び招集されるためにも、山形を勝利に導くゴールを狙う。

 豊田の心意気に応えるかのように、小林監督も「豊田は甲府戦に向けて気持ちを切り替えている。ありがたい。先発か控えか分からないけど、試合には出したい」と話した。前回ホームの20日岐阜戦は3ー5で大敗。屈辱を吹き払うべく、エースがピッチに立つ。【柴田寛人】