アニキ、ゴールは許しません。コンサドーレ札幌は明日16日、ナビスコ杯予選リーグ第3節で千葉とアウェーで対戦する。高校時代のユースから03年まで千葉の前身、市原に所属していたGK高木貴弘(25)は「第2の故郷」での試合に闘志を燃やす。2歳年上の日本代表FW巻のゴールを封じ、チームを予選リーグ首位浮上へ導く。

 柔らかい口調の中に強い決意があった。古巣と初対決。かわいがってもらった先輩FWと相まみえる。GK高木は「特に意識はしてませんが…」と苦笑いしながら続けた。「ご飯とか連れて行ってもらいました。でも今は遠い存在というか、雲の上の人になってしまいました。ただ、戦うことに思いはあります」。駆け足で階段を上がった兄貴分の巻との対戦を心待ちにした。

 試合に出場できる喜びをかみしめる。入団してすぐに認められた巻に比べ、高木は在籍4シーズンで1度も公式戦に出場したことはない。15歳で生まれ育った金沢からユース入りするため親元を離れ千葉へ。高校3年時にトップチームへ昇格したが、現実は厳しかった。3、4番手のGKで出場機会は与えられなかった。青春時代を過ごした千葉で自分の成長を見せるつもりだ。

 試合2日前の14日、GK陣で1時間半、セービング練習などで汗を流した。この日、守備の貢献も高いFW中山が左ひざ内側側副靱帯(じんたい)損傷で1カ月離脱することが明らかになった。相次ぐ主力選手の離脱。それだけに守護神の働きが重要になる。今季出場4試合3勝、勝率は7割5分と白星が先行する。「たまたまラッキーですよ。良い感じできているとは思います」と勢いを感じている。チーム内のライバル、GK佐藤はU―23日本代表に選出された。伸び盛りの若手が刺激にもなる。

 千葉を破れば首位に浮上する。チームはリーグ戦6試合、ナビスコ杯2試合で完封はまだない。12日の磐田戦でJ1・2勝目。さらに勢いに乗るために、狙うのは、巻を止めた上での完封勝ちだ。「常にやっていることをやるだけ」。高木は気負わず、平常心で古巣と対峙(たいじ)する。【上野耕太郎】