<J1:磐田1-1大分>◇第7節◇20日◇ヤマハ

 磐田が、北京五輪代表候補のFW万代宏樹(22)のゴールで追いつき、大分と1-1で引き分けた。17分にFKから失点を許すなど前半は劣勢だった。だが、FWジウシーニョ(24)をトップ下に据えた後半に猛攻。同9分に同じ代表候補のMF上田康太(21)のパスから、万代がホーム通算500ゴール目となるメモリアル弾を決めた。勝ち切れなかったものの、リーグ戦の連敗を2で止めた。

 連動の先に、万代がいた。0-1で迎えた後半9分。上田が左サイドでペナルティーエリア内に進入すると、FW中山がGKの前に猛然と飛び込んだ。つられるDF。その動きに、背番号32が瞬時に合わせた。マークを外すと、あとは横パスを左足で当てるだけ。ホーム通算500得点目の記念弾で追いつき「中山さんがスペースをつくってくれた。そこを(上田)康太が見てくれた。チームとしての得点です」と感謝した。

 苦しみをぬぐい去る一撃だった。仙台から移籍した今季。前田、カレンのケガもあって開幕から先発すると、第2節G大阪戦、続くナビスコ杯東京V戦でゴールを決めた。だが、初めてのJ1。疲れで調子は次第に落ちた。自身のブログでは、勝てないチームの戦犯扱いを受けた。テレビ中継を見た福島東高時代の恩師で「表情で分かられる」(万代)という斎藤勝先生には「お前、苦労してるのか?」と心配された。同16日のナビスコ杯東京戦で、初めて先発を外れた。

 初めて見たJ1のベンチからの光景。そこで、先発だった中山の動きが目についた。「本当に動き回っていた。今までは多少『自分はターゲットなんだから動いちゃいけない』という戸惑いがあった。でも、動いてもいいんだと思えた」。後半はその中山、トップ下に代わったジウシーニョと3人が連動してDFを幻惑した。何かが吹っ切れた。

 「記念ゴール」に居並ぶ選手の名前を、試合前に見ていた。「そうそうたるメンバーで、決めるべき人が決めている。そこに名前を刻んだからには、これまでに負けない選手になって、ジュビロの中心にならないといけない」。21日から始まる五輪代表候補の合宿を前に、万代が磐田の一員になった。【今村健人】