札幌の王子様がピッチに帰ってくる。コンサドーレ札幌は6日、札幌ドームで東京Vと対戦する。左ひざ故障のため離脱していたMF藤田征也(20)が3月23日のナビスコ杯川崎F戦以来のスタメン出場を果たす。出場停止から復帰するFWダビとともに3連敗中のチームに勢いを取り戻す。J1屈指の突破力を誇る東京VのFWフッキとの「スピードスター」対決にも目が離せない。

 けが人続出のチームにようやく光が差した。藤田が5日、札幌・宮の沢で行われたレギュラー組の練習に合流し、セットプレーやミニゲームで汗を流した。「復帰まで長く感じた。もう、足の違和感はない。どんどん高い位置でボールを受けて攻めていきたい」。甘いマスクの20歳は、気迫をみなぎらせた。

 エースのダビが4月26日の新潟戦で暴行し、出場停止になった。チームの歯車も狂い3連敗。前節、昇格組のライバル京都には今季ワーストといえる試合内容で完敗。チームには流れを変える起爆剤が必要だった。その役目を担うのが藤田だ。三浦監督も東京V戦に向け「藤田を(ベンチに)入れることができるなら、そうしたい」と待ち望んでいた。30日、4日と練習試合をこなし、指揮官からもGOサインが出た。

 投入は攻撃の流れを変えるだけではなく、守備への期待もある。東京V最大の武器は06年に札幌に在籍したFWフッキの攻撃力だ。三浦監督は「1人目が駄目でも2人目が止める」と組織力で封じ込める作戦だ。匹敵する速さを持つ藤田の役割は大きい。藤田も「(フッキと)1対1ではかなわない。でもスピードでは負けていないと思う」と食らい付くつもりだ。

 「おはらいをしようかな」と思うほど、オフから苦しんだ。キャンプでは右太もも痛と腰痛でリタイアした。開幕へ間に合わせたが、1カ月もたず再び離脱した。目標にしてきたU-23(23歳以下)日本代表入りと北京五輪出場も難しくなってきた。「今(五輪出場について)は考えていない」と言う。しかし、チャンスがなくなったわけではない。アピールの機会は残されている。

 ダビとともに復帰戦を迎える。今季チームの初ゴールはこのコンビで奪った。その3月15日の横浜戦以来のリーグ戦となる。「焦りというか、早くJ1でやりたかった。試合を見て悔しいというより何やってんだと思った」。苦しかった思いのすべてをこの試合でぶつける。【上野耕太郎】