新生千葉がリバプール布陣で船出する。10日の京都戦(フクアリ)は、プレミアの名門リバプール同様、中盤と守備ラインを4人ずつフラットに並べて堅守カウンターを狙う。スタンドで観戦する予定の元リバプール・ヘッドコーチのアレックス・ミラー新監督(58)に代わって指揮を執る沢入重雄ヘッドコーチ(45)からは、イレブンへ「中盤でつぶして速く前へ」との指示が出た。11戦勝ちなしでクゼ監督を電撃解雇した千葉が、新布陣で巻き返す。

 千葉イレブンの動きが一瞬、固まった。紅白戦前に円陣を組み、沢入コーチがレギュラー組の並びを言い渡した時だ。なんとオシム体制からずっと守備ラインの軸だった斎藤が左ボランチに配置された。右ボランチ下村は「みんなビックリしてましたね。僕も驚きました」。中盤を右から工藤-下村-斎藤-谷沢の4人、フラットで並べた。4バックもフラットと、横にきれいな2本のラインが形成された。

 紅白戦で沢入コーチはホイッスルで流れを止めて「中盤でつぶして速く前へつなごう」「ゾーンで守って、奪ったらとりあえず、センターFWを見ろ」「相手のパスコースを消せ」と、次々と注文した。8人で2本の横ラインを形成し、奪ったら素早く前へ-。まさに、ミラー新監督が8年間在籍したリバプールの戦い方だ。

 沢入コーチは「フラットの意識はなかったけど、そうなりましたね。真ん中は非常に大事。斎藤を中盤に上げたのはそのためです」と説明した。守備能力の高い斉藤が中盤でボールを奪えば、より速いカウンターが仕掛けられる。リバプールもアルゼンチン代表マスケラーノとスペイン代表シャビ・アロンソがボランチの位置でボールを奪取してからの速攻で、結果を残している。

 やり方が一緒でも、世界のビッグクラブと比べると当然、精度もスピードも落ちる。しかも千葉は開幕11戦勝ちなしと、絶不調の波にのまれている最悪の状態。それでも沢入コーチは「負けて自信はなくしているけれど、みんな前向きでやる気があるのを感じた。勝つためにできることを常に探るのが僕の仕事です」。リバプールのまねと言われれば、それまで。今はまねかもしれないが、まもなくリバプールの黄金の横2本線を構築したミラー監督から直接指導が受けられる。10日来日する監督が見守る前で、まずは京都をたたく。【盧載鎭】