<J2:山形3-1水戸>◇第13節初日◇10日◇NDスタ

 山形が9試合ぶりに3得点の猛攻を見せた。チーム在籍10年目の、はえぬきFW根本亮助(27)が先制ゴール。DFレオナルド(25)MF宮崎光平(27)も得点を重ね、3-1で快勝した。複数得点も7試合ぶりで、最近6試合で3得点しか挙げられなかったうっぷんを吹き飛ばした。今季初の、みちのくダービーとなる18日仙台戦(ユアスタ)に向けて、弾みをつけた。

 根本は冷静に相手の動きを読んでいた。DF石川の左クロスに一瞬、体の動きを止めた。「相手のDF2人がゴール左へ行くのが見えた。付いていかずにゴール右に残った」。99年山形入団後、FWで養ってきた得点感覚を見せつけた。マークをずらし、得意のヘッドでゴールネットを揺らすとFW長谷川やMF北村と笑顔でハイタッチ。「早く1点を取りたかった。モヤモヤが取れました」。今季初得点、通算35ゴール目を喜んだ。

 根本の得点が口火になった。後半2分、相手GKがはじいたボールをレオナルドが押し込み勝ち越し。追加点が欲しい後半40分にはカウンター攻撃から、宮崎が今季初得点を挙げチーム51日ぶりの1試合3得点に達した。先月6日の熊本戦でエースFW豊田が負傷離脱以来、得点力不足に苦しんできたチームが、快勝でサポーターを沸かせた。

 小林監督も「前線からプレッシャーをかけて、いい時間帯に得点できた」と満足げだ。実は試合前ミーティングで「誰かが点を取らなきゃ勝てないよね」と、やんわりと選手に要求。直接的な「点を取れ」の言葉では緊張から動きが硬くなると察したのだろう。経験豊富な指揮官ならではの、巧みな話術で3ゴールを演出。みちのくダービーに向けて、山形は上昇気流に乗った。【柴田寛人】