J1昇格の厳しさを知るベテランが「仲良しベガルタ」を解体する。J2仙台MF佐藤由紀彦(32)とFW平瀬智行(31)が19日、あえて憎まれ役となってチームを活性化させる考えを示した。表向きの雰囲気の良さだけでは、昇格できないことを指摘。けんか腰でもぶつかり合うことで、エネルギーに代える構えだ。自動昇格圏の2位山形まで勝ち点8差という危機的状況の中、昇格請負人が憎まれ役を買って出る。

 残り13試合で6位。まだ間に合う、と信じているからこそ鬼になる。99年に東京、06年には柏で昇格を経験した佐藤には、仙台の和やかムードが気にかかる。「今、雰囲気はいいですけど、昇格できなきゃ意味がない。極論だけど、雰囲気が悪くても、上がるチームがいいチーム」。穏やかな口調ながら、目はカッと見開いていた。

 声も飛び交い表面上、練習には活気がある。だがミスをしても、ごまかし笑いで済ますなど「緩み」も見逃せない。佐藤はケンカ辞さずの覚悟で、戦闘集団に変身させるつもりだ。「真剣にやればやるほど衝突は出てくるもの。正直、それ(意見のぶつけ合い)をやると雰囲気は悪くなる。ケンカしても、最後に上がれば仲直りする。柏の時にもあった」。

 同じく06年、神戸で昇格を経験した平瀬も、憎まれ役を買って出るつもりだ。「J1でやってきた経験がオレやユキさんにはある。言った方がいい時は言う」と平瀬。2人とも「殴るのはだめだけど、チームが良くなるなら正面からぶつかる」と武闘派宣言だ。

 佐藤は「若手が元気がいいのも、レイソルに似ている。『08年の昇格メンバーだ』って言って将来、酒飲みながら話したい。だから今は嫌われてもいい」とキッパリ。この日は早速、MF西山を呼び寄せミニゲームでの動きについて指摘した。残り試合は少ない。悔いだけは残したくない-という思いでベテランが、仲良し軍団をたたき直す。【山崎安昭】