王者再建へ、磐田が原点回帰する。内山前監督の解任で監督不在が続いていた磐田は1日、94年のJ新加入当時の指揮官で、日本代表や浦和でも監督を務めたハンス・オフト氏(61)の就任を発表した。磐田では12年ぶりの監督復帰になる。契約期間は来年1月1日まで。年間優勝3度、ステージ優勝6度に至る礎を築いた新監督の下で、16位と低迷するチームの立て直しを図る。

 行き着いた先は「原点」だった。この日、選手を前に馬淵社長と辻取締役は「ハンス・オフト氏を招聘(しょうへい)することに決めました」と発表した。磐田がJリーグに加入した94年から3年間、礎を築いた監督の再起用。辻取締役は「ジュビロの事情を良く知り、一番スムーズに溶け込める」と理由を説明した。

 クラブは当初、柳下コーチの昇格をもくろんでいたが固辞された。ほかに日本人の監督候補もあったが「早急に決めないといけない中、情報を集めると説得に長引きそうだった」と辻取締役。前夜に同取締役が自ら、オフト氏のスペインの自宅へ電話して承諾を得たという。

 オフト氏は低迷していた日本代表を92年にアジア王者に導き、94年から磐田の指揮をとり、強豪チームへの土台をつくった。スペインに滞在する現在も、毎年来日して磐田の試合を観戦している。61歳の年齢にも、辻取締役は「メタボ系だが、健康の問題はない。スペインでサッカーも見ている。能力的には失われることはない」と託した。

 オフト氏の意向にもよるが現有の戦力で臨む形になる。来日は「(13日の)京都戦までに合流できるようにしたい」と辻取締役。入れ替え戦圏内の16位と低迷する磐田が、名将とともに復活に挑む。【今村健人】