<J1:大分2-0東京V>◇第25節◇20日◇味スタ

 大分自慢の「カメナチオ」が、この日もゴールの扉を開かせることはなかった。

 開始4分には東京VのFW平本のシュートコースにMFホベルト、DF上本が体を投げ出し阻止。同43分には日本代表FW大黒にフリーでシュートを浴びたが、ベテランGK下川がブロックした。サポーターは、イタリア語で「ゴールにカギをかける」という意味の「カテナチオ」と、チームマスコット「ニータン」のモチーフであるカメをひっかけ「カメナチオ」と呼んでいる。

 前半ロスタイムに25メートルのFK弾を決めたFWウェズレイも味方の堅守には自信を深めるばかりだ。「攻める方からすると嫌なDF陣が、今は自分の背中にいることが頼もしい」。自身J通算120得点目は大分のJ1アウェー100得点目の節目ゴール。先制した今季公式戦はこれで19戦無敗だ。

 8月9日の清水戦で2失点した後、これでリーグ戦は5試合連続無失点。無失点時間は510分まで延びた。それでもシャムスカ監督は「ただ守っているだけでは勝てない。得失点差もプラス11ある。守備と攻撃のバランスが取れている」と、攻撃力のアップにも手応えを見せる。後半13分にリーグ初得点を決めたDF上本の追加点は、その言葉を証明してみせた。

 左ひざの負傷でGK西川を欠いても連続無失点は止まらなかった。リーグタイ記録に挑む札幌戦はDF森重が出場停止となるが「(選手は)何枚もの層になってきている。そうそう(戦術は)崩れないと思う。次もチャレンジ精神で、粘り強くいくだけ」とゲームキャプテンの鈴木。

 鹿島が引き分けに終わったために暫定2位に浮上。チームの記録を更新し続けている。堅守の絆(きずな)は、まだまだ緩みそうにない。【村田義治】