<天皇杯:横浜1-0札幌>◇4回戦◇2日◇ニッパツ

 来季J2降格が決まっているコンサドーレ札幌は、天皇杯でも見せ場をつくれなかった。初戦の4回戦で横浜に0-1であっさり敗れた。後半25分にクリアミスから決勝点を献上と、不安定な守りを一向に改善できない。シュート数は横浜15本に対して5本と、1点が遠い攻め手のなさも相変わらずだ。監督人事を含めた来季チーム編成も遅れており、ただ時間だけが過ぎている。

 今季、何度となく見せられた光景だった。後半25分。DFディビッドソンのクリアミスから左サイドを攻められ、中央のFW兵藤にフリーで決められた。それまでハードワークで横浜の攻撃を防いでいただけに、痛恨の1失点。攻撃陣もシュートわずか5本では、逆転どころか追いつく気配もない。これで公式戦15戦連続未勝利で8連敗。三浦監督は「今シーズンを象徴するように、あまりにも簡単に失点してしまった」と嘆いた。

 10月19日柏戦でJ2降格決定後も、戦い方は変わらない。同26日の川崎F戦、この日とベスト布陣を貫いた。若手登用など来季に向けたテストはせず、外国人3人中心の先発メンバー。対する横浜はユース出身の18歳FW斉藤を今季初先発させるなど、リーグ戦とは違う戦い方を選択していた。その結果が0-1での力負け。また1試合“消化試合”をこなしたような形となった。

 クラブの来季編成は遅れている。8日のホーム浦和戦までに来季監督人事を決める予定だったが、矢萩社長は「いろんな状況が考えられるので、分からない」と先延ばしを示唆した。今月中旬に見込んでいた来季強化方針の発表も、不透明なまま。クラブ関係者は「早く降格してしまったのだから、より早く来季に向けて準備ができるはずだと思う。だけど、あまり進んでいない」と明かした。クラブの方向性は一向に見えてこない。

 時間だけが過ぎている。天皇杯敗退が決まったため、残すはリーグ戦4試合のみ。来季のビジョンが見えてくれば、選手のモチベーションも上がってくるはずだが…。DF池内は言う。「負けて、負けて次のシーズン、という入り方はしないようにしたい」。優勝、残留という明確な目標があるチームを相手に、札幌はどんな戦いをしようというのか。【長島一浩】