J2に甘んじた屈辱を胸に刻み込むべく、ベガルタが開幕直前に、あえてモンテディオに胸を借りる。J2仙台の手倉森誠監督(41)が19日、宮崎キャンプ中の2月28日に宮崎県内で、J1山形と練習試合を予定していることを明かした。東北サッカー界をリードしてきた仙台だが、山形の昇格で立場が逆転。今季こそJ1復帰を実現するため、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)で挑む。

 開幕スタメンがほぼ固まる最終調整のピッチ。リーグ戦を占う、その大事な一戦で手倉森監督は、イレブンにJ2残留の悔しさを再確認させる。自主トレをする選手と一緒にランニングで汗を流した指揮官はこの日、ある計画を口にした。「(2月)28日に、山形と練習試合をやろうと(J1山形)小林監督と話している」と明かした。今季こそ-の昇格実現へ、力試しをするつもりだ。

 昨季初めて1勝2敗で、みちのくダービー負け越しの屈辱を味わった。この2敗が、昇格を逃した遠因ともいえる。02、03年とJ1で戦い、東北の雄だったベガルタも、山形が昇格し、今や追う立場。「J1と戦って、実力を測りたい」という手倉森監督の胸中は複雑なはずだが、一方でモチベーションを高めるのに、これ以上の相手はない。

 昨年のキャンプでは2試合しかできなかったJ1との試合も、今キャンプは3試合に増える予定だ。日時は「変更の可能性がある」と前置きした上で、指揮官は「2月18日にG大阪と、最初の90分ゲームをする。22日に広島とやる」と話した。ほかのJ1クラブからも多数、試合の申し込みがあったという。J1からすれば、手応えのある最適な「練習台」。仙台としても格上相手に、J1への試金石に置き換えられる。

 「キャンプ中(の試合)に悔しい思いをして(リーグ戦で)充実に変えたい」と手倉森監督。くしくも最後の2試合は、昨季昇格を果たした2チームだ。昇格に手が届かなかった悔しさを、開幕直前にイレブンが再度、自覚すれば―。昇格達成への強い思いが、指揮官のプランに込められた形だ。【山崎安昭】