試練の船出だ。悲願のJ1昇格に挑む鳥栖が24日、小雪が舞う中でJ2最多11年目のスタートを切った。ホームのベストアメニティスタジアムで開催したファン感謝デーのイベント後に始動したが、ランニングでは脱落者が続出。イベント前に行われた新入団会見で井川社長は「(3位までに入って)J1昇格を目指すのでなく、J2優勝を目指す」と宣言したが、退団したFW藤田の代役が期待される新外国人選手は未定という苦難の中での見切り発進となった。

 05年以来、夢の一文字を使ってきたスローガンは「夢昇格」と発表。「フロントとしての決意」(井川社長)も、チーム人件費は前年並みの2億7000万円という低予算のままだ。「(厳しい状況を)乗り越えて力を発揮してくれるGM、監督」という井川社長の言葉からも、試練のシーズンであることがうかがいしれる。

 この日、元日本代表DF山田ら新入団10選手が会見に臨んだが、FWはプロ無得点のFW市原(前大分)と大卒ルーキーの池田の2人だけ。松本GMは「今月中には決めたい」という新外国人選手も、米国、韓国、中国などからリストアップしている段階で「この選手を」という決め手のある選手が見つかっていないのが現状だ。

 さらに、地元企業から借用していた選手寮も2月末で契約切れとなるなど、問題が後を絶たない。試練の船出となった今季のJ1昇格争いを、松本GMは「戦国になる」と占う。この日のファン感謝デーには、J1昇格を夢見るサポーター1800人が集まった。「サガントス史上最高の結果を出す」。厳しい環境で3年目の指揮を執る岸野監督は、短い言葉に決意を込めた。【村田義治】