6色ビブスを使い分け、モンテ戦士が一瞬の判断力に磨きをかけた。J1山形は29日、キャンプ地の長崎・雲仙市で2部練習。午前トレで小林伸二監督(48)が、フィールドプレーヤーを各4人、6班に分けて、複雑なルールのあるボール回しを課した。

 指揮官は「J1(とJ2の大きな違い)はスピード」と説明した。個人能力にたける選手が少ない山形にとって、大切なのは「判断の速さ」だ。約15メートル四方の狭い空間を2カ所、各ピッチ内に2班ずつ入り、外側にいる4人を利用しながらパスをつなぐ。ボールに触れる回数を細かく制限し、10人パスが成功したら、プレーを止めずに、内側の1班と外側の4人が即座に入れ替わった。制限時間5分。気を抜く暇はない。

 「複雑なことはしていません」と指揮官は言うが、キャンプ序盤からプレー速度を要求するメニューは異例だ。指揮官は「味方がどこにいるのか『見る』ことを意識させている」と、次のプレーに動けるように選手の脳を刺激させた。

 昨季のJ2リーグ戦で、ショートパスの回数が合計1万230回で、トップ広島と約8500本差の最下位。カウンター攻撃だけでは苦戦すると考え、細かいパスをつないで得点を奪える形も手に入れたい指揮官。動きの速さ以上に、判断の速さがカギを握るととらえている。【山崎安昭】