【グアム1月31日=永野高輔】コンサドーレ札幌の石崎信弘監督(50)が、残留の決まったMFクライトン(31)のトップ下起用を明言した。昨季の三浦監督はボランチ起用をベースにしていたが、石崎監督は高いパスセンスを最大限に生かすべく1・5列目を定位置として攻撃の核にする。この日の午後練習では、2ボランチ、4バックでの守備練習を導入。速さのあるMF藤田を右サイドバックでテストするなど、着々と札幌を“石崎カラー”に染め始めた。

 今季の札幌は、クライトンを、よりゴールに近い位置で起用することで攻撃色を強くする。「(クライトンには)トップ下をやってもらう。前にいたときの方が怖かった」と石崎監督。ボランチでの起用が多かった昨季も、オプション的にFWや1・5列目を務めるケースはあったが、今季は絶対的な攻撃の柱に“指定席”を用意して石崎色を出す。

 クライトンのボールを奪う能力、ボールを奪われないキープ力はチーム内で突出している。展開力もあるだけに、前めに陣取れば攻撃チャンスは広がる。「トップ下とボランチの間で挟み込んでボールを奪うのが一番得点につながる」と指揮官。チームの心臓部として、常にFWの後ろに控え、起点をつくる。主に中盤の底から動き出した昨季よりも、ゴールに近い分、得点に結び付く確立も高くなるはずだ。

 今季のシステムも固まってきた。昨季までの中盤をボックス型にした4-4-2だったが、4バック、2ボランチでトップ下を置いた4-2-3-1をベースにする。この日の守備練習では、DF4人、MF2人を使った6対6のグループ戦術を徹底。MFダニルソン、西の2人をボランチ、後ろにDF4枚を置くシステムでのカバリング確認を徹底した。「まだまだじゃけど、まあまあかな」。初めてながら、指揮官の評価は上々だった。

 さらにサイドバックも攻撃のオプションとして最大限に生かす。この日は左に西嶋、右には縦への突破力があるMF藤田をテストした。「(藤田は)スピードはいいものがある。あとは上下運動がどれだけできるか」と指揮官。速さに90分間動ける運動量が加われば、新たな攻めの起点になりえる。

 ボランチのダニルソンと西、トップ下のクライトンらが高い位置でボールを奪い、守備の手薄になったサイドを藤田が駆け上がる-。初の練習試合となる2日の大宮戦が、石崎サッカーの原型お披露目の場になる。