【グアム8日=永野高輔】わしは、あわてない-。コンサドーレ札幌の石崎信弘監督(50)がインタビューに応じ、開幕からのスタートダッシュにこだわらない姿勢を打ち出した。06年に柏を昇格させた指揮官は、チームづくりを開幕に合わせるのではなく、リーグを通し仕上げていく“のんびり戦略”を提言。開幕5戦も「半分勝てればいい」と、スロースタートで戦国J2を勝ち抜く構えを見せた。

 --グアムキャンプを終え、開幕戦(3月8日)まで1カ月を切った。51試合のリーグ戦を乗り切るイメージは

 石崎監督

 51試合を27人で戦うのは苦しいこと。あきらめずにチームもサポーターも一つになって戦うことが大切。開幕5戦で半分勝てればいい。シーズンの最初に100%の戦力で戦うことは難しい。チームは戦いながらつくるもの。始動から2カ月で完全形はできない。最初はうまくできていても、途中でうまくいかなくなることもある。あわてないでやること。チームの雰囲気はいい。課題といえば、疲れたときに、選手同士でもっと励まし合ってほしいということ。

 --1次キャンプではフィジカル強化と守備の基礎戦術を徹底。選手への浸透度は

 石崎監督

 DF面では、今の時点で50%ぐらいだが、それでも予定通り。こんなもんじゃろ。オレの練習をオフなしで、よく頑張ってきたと思う。自信になってくれりゃいい。若いチームだしJ1との2戦で、負けなかったことも意味がある。去年とはまったく違うことをやっているわけだし方向性が出たのは良かった。これからいかに「ホンマもん」にするかは選手次第。練習をした後にはできても、時間がたつと忘れてしまうのではいけない。

 --熊本で本格的にチーム戦術に着手する

 石崎監督

 グアムではサイドから、くさびを入れる動きをグループ戦術の中で取り入れた。相手センターバックとボランチ間の「バイタルエリア」に、うまくボールを入れられればチャンスが膨らむ。ここまで8対8、9対9などグループで確認してきたことを、熊本では6試合ぐらい実戦を交えチーム戦術として形にしていく。

 --約3週間チームを見て、どんなサッカーをイメージしているか

 石崎監督

 積極的に高い位置からプレスにいき、攻守の切り替えの速いサッカーをやりたい。守備は「チャレンジ&カバー」。攻撃はボールを奪った瞬間から、どんどん前に飛び出していく。短い時間だったが意識付けはできている。

 --サイド攻撃の強化を目指しているがキーマンは

 石崎監督

 右サイドバックの(藤田)征也。彼の右サイドが積極的に攻撃できればいいと思う。グアムの終盤ではケガで調整が遅れたが、神戸戦に出た芳賀も良かった。左サイドは思っていたイメージと違う。シーズン中も同じようなケースはあるが、ケガで選手がいないときに、どの選手を使い、どう対処するか見極めている。本来なら右も左もバランス良く攻められるようにしたい。

 --3人の新外国人選手の印象は

 石崎監督

 キリノは、ほぼ休まず練習に参加していたこともあり、伝えたことをしっかり理解して試合で表現してくれている。クライトンが入って、どう合わせられるか。クライトンの天性の攻撃センスと、キリノのDF裏へ抜ける速さがマッチすれば、得点チャンスになる。ダニルソン、趙も強さがある。ケガで1試合足りなかった分、調整の遅れはやむをえない。実戦をやる前は、守備で1歩遅れるシーンがあったが(7日の)神戸戦では修正されていた。能力は高い。

 --J2を指揮するのは3季ぶり。J1との違いや、注意するポイントは

 石崎監督

 何をやってくるか分からないということ。例えば、守って単純にボールをDFの裏に蹴り出してくるということがある。そうなった場合、蹴られる前にプレスするか、うまく下がるとか、さまざまなケースに応じた判断の選択肢をたくさん与えておく。あとは選手が状況に応じて考えてくれれば対応できる。