<練習試合:浦和3-1栃木>◇15日◇さいたま市内

 浦和の現役高校生FW原口元気(17)が、V奪回の切り札に急浮上した。15日、さいたま市内で行われたJ2栃木との練習試合に先発出場。前半44分には相手DF3人をかわしてゴールを決めるなど存在感を示し、3-1勝利に貢献した。1月にプロ契約したユース出身の大型ストライカーは、今季ここまでの練習試合6戦でチーム最多の4得点。浦和史上最年少開幕スタメンはもちろん、この日、視察した日本代表岡田監督にも将来の代表入りを猛アピールした。

 戦場に立つ以上、遠慮の2文字は頭になかった。1点リードで迎えた前半44分。原口は「前をしっかり向けば、抜ける」と自分自身を信じた。右サイドでパスを受けると即座に体を反転し、一気に加速。体を寄せた相手DFをドリブルで2人、3人とかわせば「勢いに乗ったまま行く」と右足を振り抜いた。GKの手をはじき飛ばしてゴール左隅へ突き刺した。

 通信制の高校に在学し、本来はユース所属の17歳。フィンケ監督に才能を認められて1月末にプロ契約したばかりだ。それでも、練習試合6戦で267分間出場し、チーム単独トップの4得点目。90分換算でも約3試合で4ゴールの決定力。浦和にとって今季初のJクラブ勢との対戦でも「相手は走るし、体も強かったけど、やれないことはない」と頼もしかった。

 177センチの上背に加え、足元の高い技術とスピード。2トップを組んだ高原とのワンツーパスで守備網を混乱させるなど、視野の広さも併せ持つ。早くから「将来の生え抜き日本人エース」として期待するクラブ側の計らいで、昨年5月にはJ公式戦に出場可能な2種登録となり、トップチームに昇格。全日本ユースでも優勝の原動力になった。

 フィンケ監督は「若手の中でも絶好調。結果も残しているので大変うれしい。流れ星ではなく、長いスパンで輝いてほしい」と評価を上げた。視察に訪れた日本代表岡田監督との会談でも「具体名は言えないが、所属選手について意見を交換した」という。近い将来の代表候補として目に留まったはずだ。

 狙うのは、浦和史上最年少での開幕スタメン。原口は「ミスも多いし、ドリブルの成功率も低い。代表入り?

 そんなレベルにありませんよ」と自己分析する。全国選手権で脚光を浴びたFW大迫より1学年下だが「むこうも練習試合で得点したみたいですね。もっとアピールしたい」と燃える原口。3月7日の開幕戦で黄金ルーキーの直接対決が見られるかもしれない。【山下健二郎】