武田騎馬軍団の末裔(まつえい)が、上杉ゆかりの新潟を打倒する。横浜MF小宮山尊信(24)が4日新潟戦で、公式戦2戦ぶりに先発復帰することが、3日濃厚になった。今季これまで調子が上がらず、控えに回ることもあったが、MF清水がこの日左アキレスけん断裂の大けがを負ったことで、出番が巡ってきた。

 「これまでも低調さを乗り越えれば、絶好調の時期が待っていた。そのきっかけをつかむ試合にしたい」。新潟には、実は450年越しの因縁がある。「よくオヤジが言っていました。先祖が武田信玄の重臣だったと」。戦国時代に小宮山家は氏久、昌友、友晴の3代にわたり、武田家に仕えた。新潟は信玄の宿敵上杉謙信の本拠だ。

 新潟打倒の秘策も、信玄にならう。小宮山は「両サイドがいっぺんに攻め上がるのはリスクが高い。でもちゃんとゴールを決めさえすれば、カウンターのピンチも生まれない」という。右サイドMFでの先発が予想される田中裕も「小宮山のプレーを見ていて、もし自分が逆サイドに入るなら、ゴール前に入っていってクロスを待つ形もいいと思っていた」と同調。敵の本陣を左右の別動隊で挟み撃つ。まさに川中島の合戦で武田軍が狙った“啄木鳥(きつつき)戦法”だ。

 史実では啄木鳥戦法は、謙信の“空陣作戦”の前に、失敗に終わる。だがサッカーでは、守備陣がゴールを空にはできない。騎馬軍団のような攻め上がりで、小宮山が川中島の合戦に5世紀越しの決着をつける。【塩畑大輔】