<J1:G大阪2-0柏>◇第18節◇19日◇柏

 公式戦4連敗と苦しんでいたG大阪は、井原ヘッドコーチが暫定的に指揮を執った柏を2-0で破った。

 うれしいよりも、ホッとしていた。G大阪西野朗監督(54)は終了の笛を聞くと、両手で額の汗をぬぐい、深呼吸をした。0-0が続く苦しい戦い。しかし、後半にFWレアンドロ(24)の2発で救われた。6月28日リーグ横浜戦以来、公式戦5試合ぶりの白星。長い空白から抜け出した。

 西野監督

 スタイルを言えば、本来のガンバとは程遠い内容だった。選手が結果にこだわり、それを出してくれた。報われた。今日のポイント(勝ち点3)は勇気になる。ただ、これで終わりたくはない。

 ほんの少しだけ苦渋から解放された。ACLは敗退し、リーグ優勝も絶望的。さらに15日のナビスコ杯・準々決勝第1戦、横浜戦まで1-3で大敗し、サポーターから解任要求が出て、精神的に追い詰められた。クラブのホームページ上で、超異例の謝罪も行った。いつもは強気な西野監督が、こんなことも言ったことがある。「悪いなら悪いと(新聞記事に)書いてくれ。監督がダメなら、ダメだと。オレはプロの監督だ。それを甘んじて受け止める」。それだけ、プレッシャーをかけた。

 最悪の状況で臨んだ一戦は、くしくも01年に解任された古巣柏のホームだった。試合前には夕焼けで真っ赤に染まった空を見つめながら、物思いにふけった。苦しさに拍車をかけるように、この日は大黒柱のMF遠藤が出場停止。持ち味のポゼッション(ボール支配)を封印し、カウンターから活路を開いた。G大阪を率い、8年かけて築き上げてきたものを捨ててまで、勝利にこだわった。

 「今まで味わったことのない状況の中で、逆にタフさが出てきた。自分も違う角度から、アプローチしていかないといけない」。まだ出口は見えない。それでもプライドを捨て、執念でつかんだ大きな「1勝」だった。【益子浩一】