<全国高校サッカー静岡県大会決勝トーナメント:清水商3-1静岡学園>◇28日◇準決勝◇藤枝総合運動公園サッカー場

 全国切符をかけた最終決戦のカードは清水商対藤枝明誠に決まった。県総体の覇者・清水商が静岡学園を3-1で退け9年ぶりに決勝進出を決めた。県選手権決勝では初顔合わせの一戦は12月6日午後0時30分から袋井・エコパスタジアムで行われる。

 「小さな巨人」が決勝進出をたぐり寄せた。清水商GK長谷川祐樹(3年)は「青い壁」を最後方から支えた。前半、相手のオウンゴールで2点を先制したが、試合は実力で勝る静岡学園のペースだった。後半だけで10本ものシュートを浴びながら、長谷川がスーパーセーブを連発。最後のとりでを守り抜いた守護神は「高校3年間で今日は1番いいプレーができたと思う。今日のようなプレーを決勝でもやりたい」と、興奮気味に振り返った。

 信頼されるGKになりたかった。「ぼくは臆病(おくびょう)者なんです。練習中も(自分のプレーが)心配で心配でしょうがない」。不安をぬぐい去るために人一倍練習に励んだ。全体練習の朝練がないときでも「1人朝練」を敢行し、練習後は誰よりも遅くまで残って泥にまみれた。身長170センチはチーム7人のGK陣の中で最も小柄だ。体格差を克服するため毎日80本のハイボールの処理を繰り返してきた。その姿を見てきた風間宏希主将(3年)は「今日はハセのおかげ。何度も助けられた」と絶大な信頼を寄せた。

 00年以来9年ぶりの全国まであと1勝と迫った。準決勝の収穫として大滝雅良監督(58)は「今日はGKですね。長谷川が最後まで落ち着いてやってくれた」と、長谷川の成長に目を細めた。日本代表GK川口能活ら多数のプロ選手を輩出してきた名門・清水商の守護神。プライドをかけ長谷川が決勝の舞台に挑む。【為田聡史】