J1仙台に新加入した日本代表の経験もあるMF太田吉彰(26)が、10得点10アシストの「ダブル・ダブル」の目標を自らに課した。海外移籍を目指し、昨年7月にJ1磐田を退団。4カ国を渡り歩いたが契約できず、仙台での再出発となった。「開幕戦で活躍して06年(9得点10アシスト)も超えないと、海外で遊んでいたと思われる」。古巣磐田との3月6日の開幕戦に向け、自分を追い込んでいる。

 太田が、退路を断つように目標を公言した。「今季は、得点もアシストも2ケタに乗せます。必ず。過去の自分を超えなきゃいけない年なので」。過去最高は06年の9得点10アシスト(日刊スポーツ調べ)だが、移籍1年目で、それを上回る目標値を掲げた。固い決意の裏には、夢破れた昨年の海外挑戦がある。

 07年に当時オシム監督の日本代表に選ばれ、海外を意識した太田。昨年7月に磐田を電撃退団し単身、渡欧。イングランド、ドイツ、フランス、ベルギーで計6クラブのテストを受けた。結果は不採用、そして帰国。それだけに「磐田を飛び出したからには、相当な気持ちで目標を達成しないと。海外で遊んでたと思われるから」と本気だ。

 移籍は実現しなかったが「言葉も通じない中で半年間、練習生として学ぶことは多かった」と太田。190センチ、90キロのDFと対戦し「当たり負けしない体が必要」と体重を69キロから73キロに増量した。持ち味の運動量、シュート精度にも磨きがかかり、手倉森浩ヘッドコーチも「もっと目標が高くてもいいんじゃないの?」と高評価。手ぶらでは帰ってこなかった。

 元日本代表の即戦力が、昨季J2の仙台で、さらなる成長材料を見つけた。「得意の走りは、ジュビロで断トツだった。誰も僕に付いて来られなかった。でも、仙台では気を抜いたら負けるほど走れる選手がいた。驚いたけど、高め合えばJ1でも上位を狙える」。当面の目標は磐田との開幕戦だ。「絶対に負けたくない相手。成長したところを見せつけたい」と新天地で燃えている。【木下淳】