仙台FW平瀬智行(33)と中島裕希(26)が、8月1日のアウェー川崎F戦(等々力)で“金星”の再現を狙う。まだJ2だった昨年12月、天皇杯準々決勝で先制(中島)と決勝(平瀬)のゴールを決めて、格上のJ1で2位のクラブに勝利した。現在は今季加入のフェルナンジーニョ(29)と朴成鎬(28)に定位置を明け渡している形だが、競争を発奮材料にしてチームを救う得点を奪う。

 ホーム2連戦の24日新潟戦(2-3)と27日広島戦(1-1)は、それぞれ先制しながら、畳み掛けて2点差をつけられず、逆転負けと引き分けに終わった。リーグ10戦勝ちなしと苦境は続くが「内容は悪くない」と声をそろえる。平瀬が「いい崩しはできてる」と言えば、中島も「あとは、いい流れの時に追加点を決めて、自分たちのペースで我慢できるか」と分析している。

 ともに好印象のある川崎F戦を再浮上のきっかけにする。昨年12月12日の天皇杯準々決勝では、前半35分にFW中島が先制。延長後半3分に平瀬が頭で決勝点を奪った。ともに日本代表GK川島(現ベルギー1部リールス)から奪った値千金弾だった。平瀬は「たまたま」と笑うが、中島は「いいイメージがある。試合に出られれば、また点を決めて勝ちたい」と思い描く。

 「出られれば」と話したように、今は新加入の朴成鎬に定位置を譲っている。平瀬は「もう『自分が』って年齢じゃないし、中央の成鎬を生かせるようサイドを有効に使えれば」。一方の中島は感情を隠さない。「自分の場所を奪われて悔しい。気持ちだけは折れないように強く持つ。途中出場でチームの勝利に貢献できれば、先発を奪い返せると信じている」と燃えた。

 それぞれ思惑はありながら、一貫しているのは勝利へのアプローチ。平瀬に05年8月24日浦和戦以来1803日ぶりのJ1得点、中島にJ1初得点が生まれれば、トンネルの出口が見えてくる。【木下淳】