<J1:神戸1-0浦和>◇第17節◇8日◇ホームズ

 突きつけられた現実をただ、受け入れるしかなかった。浦和FWエスクデロ・セルヒオ(21)は尻を突き上げて顔をピッチにうずめ、DF宇賀神友弥(22)は大の字になって倒れ込んだ。王座奪回を狙うはずのシーズン前半戦で、まさかの10位。1シーズン制となった05年以降、クラブ史上ワースト順位だった。さらに、前節大宮戦に続き、前半のうちに相手に退場者が出る数的優位な状況で、クラブ史上初の2試合連続完封負けという非常事態に陥った。

 左サイドバックのサヌをFW登録し、3トップの一角に先発で送り出す苦肉の策に出たフィンケ監督(62)だったが「(失点後に)多くの選手が広い視野を失った。精神的な重圧を受けたように見えた」と焦りを抑えきれなかった。後半15分以降は田中とエスクデロのFW陣と脚力のあるMF細貝を矢継ぎ早に投入したが、ゴールを割れなかった。

 MF柏木が「何が悪いのか分からない」と危機感を募らせれば、田中も「今のチーム状態を考えると、点を取るよりゼロで抑える方が効率的」。大宮戦後にはフィンケ監督が選手と個別に面談し、橋本社長もミーティングに出席して奮起を促したが、選手間での意思統一も揺らぎ始める事態となった。

 試合直後にフィンケ監督と会談した橋本社長は「次を目指して頑張ろうと話をした。(現体制支援の方針に)変わりはありません」と低迷脱出を期待した。ただ、暗闇を抜け出すすべは見えない。赤い悪魔が、試練を迎えた。【山下健二郎】