<全日本女子サッカー選手権:東京電力マリーゼ5-0日体大>◇3回戦◇19日◇Jヴィレッジ

 なでしこ唯一のママさん選手が流れを変えた。東京電力マリーゼのMF宮本ともみ(31)は後半19分、左サイドから高さのあるクロスが入ると、目いっぱい跳び上がる。ギリギリで頭に合わせ、ループ気味に2点目のゴールを奪った。

 格下相手に前半は1-0と苦戦した。菅野将晃監督(50)は「決定機を何度も外した。精度を上げないと」。後半に入っても雰囲気は上向かない。だが宮本のゴールを機にマリーゼ本来の姿を取り戻し、さらに3点を加えて圧倒した。

 昨年、伊賀FC(三重)から移籍。消防士の夫、宏章さん(37)を三重に残し、1人息子の燿大(ようた)くん(5)と2人で福島県に移住し、戦ってきた。副主将としてもチームを支えた。この日も「2点目が入ればリズムが変わると思っていた」とチーム状態を常に意識していた。

 先制点は、2年目で選手権初先発のDF吉冨桃子(20)が決めるなど、若い力も出てきた。菅野監督も「何が何でも元日の国立切符を手にしたい」と気合十分。準々決勝は23日、リーグ戦で1勝1敗だったアルビレックス新潟戦だ。「リーグで負けた悔しさをぶつけたい」と宮本。あと2勝し、夫と息子を国立に連れて行く。【三須一紀】