横浜に入団するFW小野裕二(18)が、クラブ史上初めて、新人で「10番」を背負うことが15日、分かった。今日16日に行われる新体制発表会でお披露目される。ユース所属だった昨季、7月にJデビューすると、10月の神戸戦でクラブ最年少のリーグ戦ゴールを樹立し、天皇杯も含めて20試合5得点。12年ロンドン五輪を目指すU-22(22歳以下)が2月に行う中東遠征メンバーにも“飛び級”で選出された逸材が、異例の大抜てきだ。

 木村和司、中村俊輔、山瀬功治…。日産時代から横浜が誇る偉大な先人たちの系譜に、18歳で名を連ねることになった。昨季、就任1年目だった木村監督の秘蔵っ子としてトップチームに昇格した。日本代表でも10番をつけ、「木村和司の攻撃サッカー・『背番号10』のプレー」の著書もあり、人一倍、この番号への思いが強い指揮官。「将来は日本の宝になる」と太鼓判を押しており、その意向も大きく反映したとみられる。

 横浜の「10番」は、ただの「10番」ではない。木村監督自身が80年代半ば、「日本の10番と言えば木村和司」と称されていたのを始め、中村、山瀬も日本代表で10番を背負ってきた。04年に横浜の10番だった遠藤彰弘は、翌05年は「重圧に感じる」と外すことを希望し、打診された奥大介も断ったという逸話も残る。

 チームは昨季8位に終わった。長年チームを支えた松田、山瀬らを放出し、大きく様変わりして今季を迎える。小野には5年の長期契約も打診している。クラブの新たな象徴となる若き10番。数字だけでなく、大きな期待も背負いピッチを駆ける。【阿部健吾】