なでしこジャパンのエースMF沢穂希(32=INAC)が“後継者”MF宮間あや(26=岡山湯郷)への敵意をむき出しにした。サッカー女子のなでしこリーグは今日31日、神戸ユニバー記念競技場でINAC-岡山湯郷戦が行われる。沢ら日本代表7人が所属するINACは30日、神戸市内で最終調整を行い、沢は「ガチで宮間のいいところをつぶす。意地でもFKを与えない」とエース封じを宣言。女王のプライドをかけた一戦になりそうだ。

 世界のMVPプレーヤーとして譲れない一戦だ。沢は言葉の端々に後継者・宮間へのライバル心をのぞかせた。

 沢

 彼女のいいところをガチでつぶしにいきますよ。彼女はゲームの組み立ても1人でできるし、間違いなく(岡山湯郷の)中心選手。でも、絶対に勝ちます。

 W杯では「右腕」として頼りにしたFK名手の宮間に、高らかな勝利宣言だ。

 W杯決勝、米国戦の延長後半12分。1点ビハインドから同点に追いついた沢のスーパーゴールは、宮間の絶妙なCKから生まれたものだ。「私は触るだけでよかった。あやのキックはピンポイントでくる」と沢が絶賛するキック力。味方としてこれ以上心強い選手はないが、相手になるとやっかいだ。しかもポジション的にマッチアップは避けられない。

 沢

 イッチバン、嫌な相手ですよね。もちろん、FKやCKも抜群の精度だし。だからこっちはムダなファウルとかでFKとか絶対に与えないようにしなきゃって思ってます。

 開幕以来、6戦全勝で首位をひた走るINACは抜群の得点力を誇る一方、ここまで無失点のパーフェクトゲームを続けている。しかし、沢はここにも落とし穴があると警戒する。

 沢

 あやの性格からして、絶対に失点記録を途絶えさせてやろうって思ってるはず。だから、こっちは必ず先制点を取って先にペースをつかみたい。

 沢だけでなくFW大野もDF近賀も宮間への思いは同じだ。笑顔がトレードマークの大野は「あやのキックひとつで流れが変わるので一瞬でも気を抜けない」と表情を引き締めた。近賀も「セットプレーだけじゃなくて、流れの中でもいいボールを入れてくるので気をつけないと」。世界一メンバーの意地をかけた一戦。緊迫感あふれたゲームになりそうだ。【土谷美樹】