清水ユースが「平岡体制」で新たな船出を迎える。高円宮杯U-18サッカープレミアリーグEASTは24日に再開。前半戦9試合を終えて2位の清水ユースは、アウェーで6位の札幌ユースと激突する。7月下旬、大榎克己監督(49)がトップチームの新監督に就任。代わりにコーチだった平岡宏章氏(44)がユース監督に昇格した。新指揮官のもと、短期間でフィジカル強化などを図ってきたイレブンは首位奪還&悲願の優勝を目指し、再開戦のピッチに立つ。

 プレミアの頂点へ、清水ユースには新たな刺激があった。先月下旬からユースの指揮を任された平岡監督は、自らの「イズム」を急ピッチで注入している。リーグ再開となる札幌ユース戦は監督就任から約3週間しかなかった。与えられた期間は短いが「コーチとは違って監督は決断をしなければいけない。責任はある」と、強い決意を示した。

 大榎前監督が構築したスタイルを継承しつつ、平岡カラーも織り交ぜる方針だ。チームはボールをつなぐ攻撃サッカーで、リーグトップの22得点を挙げてきた。その一方で守備は15失点も重ねた。前半戦9試合で完封はわずかに1試合。特に運動量が落ちた後半に得点を許すシーンが多かった。課題は明確だった。

 現役時代、DFで活躍した平岡監督は「技術はあっても走れなければいけない」と自らの信念を貫く姿勢を示した。フィジカルトレーニングは、これまで取り組むことがなかったというボール使わない「素走り」を敢行した。選手らには90分間、ハードワークを続けるよう求めている。

 トップチームの事情とはいえ、ユース年代でシーズン途中に監督が交代するのは異例なことだ。突然の交代となったが、チームには良い効果が表れている。MF森主麗司主将(3年)は「最後まで走り切れればもっと強くなれる。優勝して平岡監督を胴上げしたいし、大榎監督にもいい報告がしたい」と、他選手の思いを代弁した。

 首位に立つ柏ユースとは、わずかに勝ち点2差だ。十分に優勝を狙える位置につけている。平岡監督は「選手の良さを出してこれからも勝っていきたい。今はすごく楽しみ」と公式戦の初采配を待ち望む。まずは24日の札幌戦で、優勝に向けた第1歩を踏み出す。【神谷亮磨】