J2横浜FCのFWカズ(三浦知良=44)が18日、東日本大震災の津波被害が甚大な岩手県の釜石市と大槌町を訪問した。前日17日は内陸の盛岡市で慈善試合に出場したが、この日は沿岸の悲惨な光景を初めて目の当たりにした。最初に訪問した釜石市内の避難所・甲子(かっし)小では、到着と同時に握手とサイン攻めにあう熱烈歓迎を受けた。

 予定を約1時間オーバーして交流を続けたカズは、女子中学生をサプライズで抱き締めた。キングの胸に顔をうずめた柏崎楓さんと佐々美波さん(ともに13)は「握手しに行ったらハグしてくれて。格好いい!

 もう洗濯できない」と感激。ともに自宅が半壊した2人を笑顔にした。今日19日に小中学校の始業式を迎える甲子地区にとって、最高の前祝いになった形だ。

 その後、北に約20キロの大槌町に移動し、吉里吉里(きりきり)小を慰問した。道中、車窓から見えたのは決壊した堤防と集落がガレキの山に変わり果てた姿だった。カズは「一瞬にして、すべてを奪ってしまう津波のすごさは、テレビ以上のものだった」と実感した上で「それなのに、子供から大人まで喜んでくれて幸せ。サッカーで全力を尽くして恩を返し、横浜に帰ってもパワーを送りたい」。1泊2日の強行日程で被災地を回り、サッカーに取り組む姿勢を再確認した。【木下淳】