<J1:浦和3-0名古屋>◇第7節◇24日◇埼玉

 浦和が、ホーム開幕戦で昨季王者の名古屋を打ち破った。ペトロビッチ監督(45)は、待望の初勝利を飾った。10年11月14日京都戦以来、161日ぶりのホーム戦勝利。さらに3ゴール以上の大量得点での勝利は、10年11月23日横浜戦に4-1で勝利して以来だ。昨年度は入場者数減少の影響で、クラブ史上初の2億6000万円の赤字を計上。この試合もホーム開幕戦では04年以来となる5万人割れだったが、ペトロ流の情熱サッカーでサポーターを熱狂させた。

 何度ガッツポーズをしても、喜びは表現しきれなかった。ペトロビッチ監督は、ホーム初采配で今季初勝利。ユーゴスラビア代表として共に戦ったドラガン・ストイコビッチ監督が率いる昨季王者の名古屋を無失点に抑え、完勝した。選手の個人名を次々と挙げ、「いい試合内容で満足している。選手全員が称賛に値する。全員の侍が、戦う姿勢を見せてくれた」と、褒めちぎった。

 大好きな日本のために、単身で滞在を続けている。本来、4月中に家族が来日する予定だったが、大震災の影響で延期になり、予定は立っていない。国際電話をかける夜が続き「家族の力は一番大きい。ひとりの夜は寂しいが、みんな同じだ」と、気持ちを抑える。チームがオフの日も対戦相手のビデオを分析するなど、生活のすべてを浦和に、自分のすべてをサッカーにささげている。

 長い中断期間を使い、名古屋対策は完璧だった。開幕やACLを分析し、監督自身も直接視察。最終ラインを高くし、全体をコンパクトに保ち、前へ仕掛け続けた。前線から激しいプレスをかけ、攻撃の芽を摘んだ。前半、FW原口はほとんどの時間を守備に費やした。ボールを追いかけて名古屋中盤のMF金崎やMF小川にプレッシャーをかけ続け、俊足FW永井へボールを渡さなかった。

 空中戦も支配した。相手CKではDF永田はDF闘莉王を、DFスピラノビッチはFWケネディをマーク。長身2人に仕事をさせなかった。DF永田は「今日は、高さに関しては勝てました」と断言。チーム一丸の情熱的サッカーだった。

 埼玉スタジアムでのホーム開幕戦で観衆が5万人を割ったのは04年以来。それでもペトロビッチ監督は「一番称賛に値するのは、スタジアムに足を運んでくれたサポーター。こんなクラブは世界中を探しても、浦和とボカ・ジュニアーズくらいかもしれない」と、頬を緩めた。まず、監督から先頭に立って戦う。ペトロビッチ監督を旗頭に、浦和は生まれ変わりつつある。【保坂恭子】