J2札幌GK李昊乗(21)が“ホスン砲”で定位置奪取を狙う。チームは27日、札幌・宮の沢で戦術練習などを行った。第2GK高木貴は右太もも裏の張りのため、この日も別メニュー調整。次節30日の東京戦(味の素スタジアム)は李の3戦連続出場が濃厚となった。得意のロングキックは石崎信弘監督(53)も評価しており、2戦無得点と苦しむ攻撃陣を最後尾から援護射撃する。

 もう代役とは言わせない。前節湘南戦は1失点したが、李自身のミスではなかった。前半10分に菊地の強烈なミドルシュートを横っ跳び。右手1本でセーブするなど好守を見せた。開幕愛媛戦と湘南戦は高木貴の負傷で出場機会が回ってきたが、東京戦に向け「結果を出してチャンスをつかみ取る」と実力で正GKの座を奪いにいく。

 武器は正確無比なキック。石崎監督は「湘南戦のホスンは良かったよ。キックも正確だった」。本来は右利きだが、左右両足で精度の高いキックを蹴ることができる。韓国の東国大時代はゴールキックでアシストを経験したこともあり「東京戦も攻撃をイメージしたボールで得点につなげたい」と“攻撃的GK”としてチャンスメークを狙う。

 東日本大震災発生直後は、韓国メディアの過剰な報道に動揺した。だが、李成樹通訳(31)らが正確な情報を伝え冷静さを取り戻した。「試合も2試合出たし、今は精神的にも一番安定している」。試合にも慣れ、日本語もカタカナを書けるまで上達した。心身ともに充実する21歳の韓国五輪代表候補。札幌で定位置を奪い、12年J1昇格とロンドン五輪のダブル切符を取りにいく。【永野高輔】