<J2:札幌2-1京都>◇第25節◇21日◇函館

 ジオゴ1号が勝利を呼び込んだ。札幌が京都にで勝ち、844日ぶりの4連勝。0-1の後半2分に、新加入FWジオゴ(28)が移籍後初ゴールを決めて同点。同22分にMF近藤祐介(26)が勝ち越し点を挙げ、今季3度目の逆転勝ちを収めた。05年以来6シーズンぶりの函館白星で、リーグ通算600試合に花を添えた。勝ち点を37に伸ばし、順位は5位のままだが昇格圏の3位栃木とは3差、首位東京にも4差に迫った。

 鮮やかなミドルシュートだった。後半2分、ジオゴがゴール前でFW内村からのパスを受けると、左足を振り抜いた。「前が空いていた。あそこは狙うしかないと思って、思い切って蹴った」。ボールはゴール左隅へ吸い込まれた。

 出場3戦目で初ゴール。しかも“鬼門函館”で6シーズンぶり勝利を呼び込む貴重な1発となった。「昨日から自信があったんだよ。大事な試合で点を取れてうれしいよ。函館はマイホームさ。みんなに感謝したい」。試合後は約10秒間、祈りをささげて神に感謝した。

 前半5分に、相手DFと衝突して鼻を裂傷。出血したため、約4分間ピッチを離れた。サッカー人生初の顔面負傷だった。恐怖心もあったが「立ちくらみがした。でもドクターがやれるって言うからね。頑張って走ったよ」と振り返った。ハーフタイムには止血のため、患部を2針縫った。鼻にばんそうこうを張りながら最後まで戦い抜いた。

 ボランチ宮沢が出場停止、右サイドバック高木純の負傷離脱。主力不在の窮地を“神のカラス”が救った。得点後に両手を広げて披露した「カラスパフォーマンス」は、聖書の中に出てくる話に起因する。「砂漠を旅する人が食べ物がなく苦しんでいる時、神様が食事を贈ってくれるのさ。その時に運んでくるのがカラス。自分もそうなりたいと思ってね」。初出場した14日富山戦で2得点を演出、17日の千葉戦は内村の2ゴールを引き出すおとり役になった。今度は自らの1発。8日で3戦というハード日程で疲弊したチームを新11番が救った。

 チームはジオゴが加入してから負けなし。「まだまだ満足していないよ。これから、もっとチームに貢献していかないと」。上位千葉に続いて、降格組京都もねじ伏せた。中断明けの7月31日岐阜戦からの4連勝で、一気に勝ち点12を上積み。次節26日の岡山戦では、前回昇格した07年5月27日福岡戦以来1552日ぶりの5連勝に挑む。【永野高輔】