山形は20日、C大阪戦(23日=金鳥スタ)に向けての練習を再開した。この日は台風の接近に伴う強い雨に見舞われ、予定のメニュー通りにはこなせなかった。ただし、ミーティングは別。小林伸二監督(51)は0-1で敗れた川崎F戦(17日)のDVDを使いながら、約1時間みっちりと選手に反省点を指摘した。残り8試合で15位浦和との勝ち点差は8。大詰めを迎える残留争いを前に、指揮官が鬼となった。

 スムーズに流れれば20分ほどで終わる週明け恒例のミーティングが、この日は約60分続いた。小林監督が会見室に登場したのは午後1時前。普段通りのにこやかな表情だったが、選手の前では「鬼軍曹」になっていた。「今日はカウンターのシーンを全部流したよ」。指揮官の強調する場面とは、前節戦った川崎Fに再三やられたパターンで、後半8分の決勝点も同様の攻撃で失った。通常なら、似たようなミスシーンは割愛し、1つだけを見せる。この日はあえて全てを指摘。選手に危機感を募らせることで叱咤(しった)激励した。

 佳境に入ってきた残留争い。小林監督は気持ちで先頭に立っている。左腕に巻いている青いリボン。今年と同じように降格の危機の中で戦い、そして乗り切った2年前の秋にも着用していたものだ。サポーターも身に着けて応援している。2年前は願いが通じたのか、リボンを巻き始めてからチームは息を吹き返した。小林監督は験を担ぎ、ピッチ上だけではなく、入浴時や就寝時でも左腕から離していない。「2年前は一時リボンをやめてから勝てなくなったから。しっかり巻いとかんと」。残留できるなら、わらにもすがる。そして“シンジ”るものは救われる。【湯浅知彦】