<ナビスコ杯:鹿島1-0浦和>◇決勝◇29日◇国立

 悔しさを、胸に刻みつけた。1人だけスパイクではなく、ランニングシューズで銀メダルを受け取った浦和MF山田直輝(21)は、涙がにじむ目で、優勝カップを笑顔で掲げる鹿島の選手を見つめた。後半5分に2枚目の警告を受けて退場した。優勝セレモニー前にMF鈴木から「これを目に焼き付けておけ」と声を掛けられた。「悔しかった。前半を守りきって、後半これから行くぞというときに退場。チームに迷惑をかけてしまった」。かみしめるように話した。

 あまりにも短時間での出来事だった。後半2分と5分、立て続けにラフプレーで警告を受けて退場。がっくりと肩を落としユニホームを脱ぐと、ピッチに残る10人に向かって手を合わせ、深く頭を下げた。攻撃の司令塔を失ったチームはその後、防戦一方。鹿島の猛攻に全員が自陣に引き、守備に追われた。同35分に鹿島のDF青木も2枚目の警告で退場し、10対10の戦いになったが、1度傾いた浦和劣勢の流れは変わらない。度重なるピンチを体を張った全員守備で防いでいたが延長前半、一瞬マークがズレた隙を突かれて失点した。DF浜田は「直輝がいる、いないで攻撃が違う。その後の時間がだいぶ長く感じた」と振り返った。

 気持ちを引きずっている時間はない。すぐJ1残留争い中の大事なリーグ戦が控えている。退場した山田直は、次戦磐田戦(11月3日、埼玉)も出場停止。DF永田は「直輝が出られないのは痛い」。MF柏木は「準優勝もすばらしいこと。切り替えて、残り4試合に全力をぶつける」と力強かった。今こそ、チーム力が問われるとき。残留に向けてラストスパートをかける。【保坂恭子】