まずは勝つことじゃ!

 J2札幌の石崎信弘監督(53)が27日、最終決戦での勝ち点3に集中する考えを示した。この日、徳島が鳥栖に0-3で敗れたため、得失点で徳島を上回り、4試合ぶりの昇格圏3位に浮上した。12月3日の最終節東京戦(札幌ドーム)は引き分けでも、徳島が引き分け以下で昇格が決まる。状況的に優位に立ったが、相手の勝敗やスコアに惑わされることなく、自らの力でJ1昇格を成し遂げる。

 再び札幌に運が巡ってきた。前節まで3位だった徳島が鳥栖に0-3と完敗。得失点差で3位に再浮上し、崖っぷちから半歩、昇格へ前進した。この日の午前練習後はDF櫛引、FW三上、DF岡山らが選手寮でライバルの直接対決をテレビ観戦。スタッフはクラブハウスで携帯サイトを速報をチェックするなど、試合経過に一喜一憂した。

 それでも石崎監督だけは泰然自若としていた。「最後にどうなるかは神様しか知らんこと。それより次の相手の東京に集中すること。とにかく勝つだけじゃ」。徳島とは得失点で2差ついた。東京戦で1点差勝利でも、徳島が2点差以内の勝利なら昇格できる。試合に入る段階でのプレッシャーは格段に違うが、今は相手のことより目の前の敵。J2最少20失点の東京DF陣をいかに崩すかということに頭を巡らせた。

 湘南戦勝利で最終東京戦の観客動員にも期待がふくらんできた。先週末の25日の段階で、前売りチケット販売数は1万7000枚。クラブ関係者は「昇格の可能性がふくらんだことで、今週からの上積みがまた期待できる。券種によっては当日券が出なくなる可能性もある」と話した。石崎監督も「たくさん来てくれれば選手の力になる。1人でも多くの人に見に来てほしい」と12番目のパワーに期待する。07年11月18日京都戦(3万2599人)以来の3万人超えをかけ、電波ジャックなど売り込み作戦も敢行する。

 前日26日の湘南戦は今季アウェー最多の1800人が選手を後押しした。MF河合も「湘南戦はアウェーなのにホームみたいな雰囲気で、力になった。次はホーム。もっと気持ちが入る。みんなに1年間の恩返しをしたい」と気を引き締めた。泣いても笑っても残り90分。12月3日、最終決戦へ向け監督、選手、スタッフ、サポーターが一丸となる。【永野高輔】

 ◆最終節昇格の行方

 徳島に勝った2位鳥栖が、勝ち点を68に伸ばし1歩リードした。3位札幌とは得失点でも18差あるため、最終熊本戦に敗れても昇格は確実。札幌は、東京戦で1点差勝利でも、徳島が岡山に2点差以内の勝利なら昇格が決まる。3点差勝利なら総得点での争いとなる。札幌が2点差勝利なら、徳島が4点差以上つけない限り、札幌が昇格する。札幌は引き分けでも、徳島が引き分ければ昇格となる。