来季J2に降格する山形は23日、天童市内で奥野僚右新監督(43)の就任会見を行った。当初は緊張した様子だったが「1年でJ1昇格することがすべての目標であり、目的。昇格するためだけに来た」と自ら退路を断った。Jリーグ初監督で、指揮を執る経験は浅くとも、昇格請負人になる覚悟だ。

 J1最下位に沈んだチームをゼロから立て直す。「(現時点で)選手の評価は下していない。所属するすべての選手たちを見ていきたい」と横一線を強調。さらに「敵として山形を見てきて足りないと感じたものは」という質問には「弱点になる部分をわざわざ口にする必要はないと思う。お答えできず、申し訳ありません」と切り返した。穏やかな物腰の中に時折、常勝軍団鹿島に身を置いてきたしたたかさを漂わせる。

 2年の浪人生活を経て早大に入学した苦労人で、座右の銘は「虚心坦懐(たんかい)」。家族5人で山形に引っ越すことを決め「趣味は温泉巡りと散歩。県内をくまなく回ってみたい」と胸を高鳴らせている。フレッシュな“J監督1年生”に、チームの再建が託された。