札幌FW中山雅史(44)が、最下位に苦しむチームに喝を入れた。両膝関節炎のため静岡でリハビリしていたが、1日から札幌・宮の沢でのトレーニングを開始した。札幌での調整は開幕後初。別メニュー調整も、選手にゲキを飛ばすなど早速、精神的支柱として動きだした。2月の熊本合宿で一時合流した時点よりランニングペースも加速。09年以来3シーズンぶりのJ1ピッチを目指し、本格スタートを切った。

 ゴン魂を注入した。宮の沢でのトレーニングは、中山にとって昨年12月末以来4カ月ぶり。クラブハウスに入ると早速、動いた。まずはリラックスルームの照明が気になった。「電気が半分付いてなくてね。暗いっ!

 真っ暗にして集中するならいいけど。半分だけ付いてるのは中途半端だね。そんなんじゃ勝てない。全部付けようよって」。何気ない行動がムードを変えた。選手会長のMF岡本賢明(24)が「ゴンさんはいるだけで違う」と言えば、MF山本真希(24)も「気が引き締まる」と効果を口にした。

 自身の状態も上向きだ。静岡で専門スタッフと取り組んできた、膝を意識して外に開きながら走る新走法が身についてきた。この日は屋内での筋力トレーニング後、ピッチ1周約350メートルを2分で走るランニングメニューを8セットこなした。佐川トレーナーは「(一時合流した)熊本のときよりいい」と説明。今後、数日間は状態をチェックし、メディカルスタッフと話し合いながら、復帰へのメニューを組み立てる。

 チームのためにひと肌脱いだ。札幌は4月28日の大宮戦で敗れ7連敗。リーグ唯一の未勝利と厳しい状況にある。重い空気を変えるため、三上強化部長が「いてくれるだけで変わるから」と札幌帰還を打診した。「僕自身が何ができるか分からないけど、戻ることで何か役に立てるのなら、それが一番」。完全復帰にはまだ時間を要する。回復のため静岡でのリハビリを延長するプランもあったが、チーム事情を優先した。

 仲間の戦いを客観的に見て、気付くこともあった。「十分戦えている。修正点をはっきりさせていけば。1度にいろいろやるとバラバラになる。みんなでこれだけはやろうというところから、やっていけば」。復帰時期は未定だが、ピッチ外でやれることはある。明日3日のC大阪戦は、ゴンの力も加えて初勝利を目指す。【永野高輔】