主将が戻ってきた!

 右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で離脱していた札幌MF河合竜二(34)が4日、59日ぶりに全体練習に完全合流した。戦術練習では早くも主力組ボランチでプレー。8日の天皇杯2回戦、長野パルセイロ戦(札幌厚別)では8戦ぶり公式戦先発が濃厚となった。チームは現在、リーグ戦で残留圏内15位に勝ち点14差。厳しい状況も、精神的支柱の復帰をきっかけに巻き返しを図る。

 たぎる思いを抑えられなかった。午後練習開始30分前、河合はたった1人で札幌・宮の沢のグラウンドに飛び出した。「早く全体練習に戻って力になりたかったから」。入念にジョギングを繰り返し負傷した右膝の感触をチェックした。チームメートがそろうと、ランニング開始と同時に定位置の先頭に立ちけん引。約2カ月ぶりに、闘魂キャプテンが帰ってきた。

 戦術練習では早くも主力ボランチに入り、激しいタックルでボールを奪った。熱いゲキでチームの士気を高めた。目指す復活の舞台は、8日の天皇杯、長野パルセイロ戦だ。7月7日のリーグ新潟戦以来8試合ぶりの公式戦に「やれるならやりたい。日々、全体メニューをこなしていけばフィジカルも戻ってくる」と意気込んだ。

 役割は戦術、メンタル両面での立て直しだ。特に守備は現在、24試合でリーグワーストの61失点。18チーム34試合制になった05年以降では11年福岡の75失点が最多だが、残り10試合で超える可能性もある。「1点先に取られると、すぐに崩れてしまうところがあった。精神的なところから締めていきたい」。2カ月間、ピッチ外から観察して気付いた部分もある。中盤の底に入り、サッカーだけでなく沈みがちなムードにも、メスを入れる。

 復帰戦は格下JFLのチームだが、逆に気持ちを締め直すにはいい機会だ。「向こうは食ってやろうという気持ちで来る。でも受けて立ってはいけない。ワンプレーを必死になってやることが大事」。この日、着ていたTシャツには偶然にも“BE

 A

 HUNTER(ハンターであれ)”とプリントされていた。どんな相手にもかみついていく、泥臭く執念深い守備が昇格した昨季の武器。34歳のファイターが、忘れかけた粘り強さを、もう1度、チームに注入していく。【永野高輔】