“浪速の闘魂FW”が帰ってきた。C大阪の元日本代表FW播戸竜二(33)が、12月1日の川崎F戦(長居)でベンチ復帰する。2試合の出場停止と故障で戦列を離れていたチーム最年長が、29日から全体練習に復帰。過去にJ1残留とJ2降格をともに味わっているベテランが、今季最終戦でゴールを飾って自力でのJ1残留を決める。14位C大阪、15位神戸、16位G大阪、17位新潟の中から2チームだけがJ1に残留できる究極の勝負に挑む。

 若手中心のC大阪で33歳の最年長FW播戸が誰よりも大きな声を張り上げた。25日の実戦で右足かかとを痛めて前日まで別メニューが続いていたが、ついに全体練習に復帰。紅白戦で控え組に入ると、監督ばりの大声でチームを鼓舞した。

 「痛いとは言ってられない。プレッシャーをはねのけて、伸び伸びやれば結果はついてくる」

 01年にはJ1に昇格したばかりの札幌を残留させ、逆に05年には神戸のJ2降格を経験。プロ15年目のベテランの愛称は「浪速の闘魂FW」。G大阪時代の07年、大好きなアントニオ猪木から闘魂ビンタを受けた。過去、価値あるゴールを決めれば「1、2、3、バーン!」と試合会場で叫んだ。真冬でも半袖で出場するから、ハンソデバンドという競走馬まで誕生した。大一番の緊張感を「楽しい」と言える背番号11こそ今のC大阪には必要だ。

 「C大阪には未来のある選手が多く、下に落ちるチームではない。しっかり力が出せるよう話をして、雰囲気作りをしたい」。11月7日仙台戦で退場した播戸にとっては、出場停止だったその後の2試合で連敗しているだけに、最終節に懸ける思いは強い。

 10月30日の時点で11位にいたC大阪が、まさかの大失速。今回もMF山口が出場停止。MF柿谷、丸橋は故障を抱えており万全ではなく、MF酒本は欠場が濃厚だ。最終戦は引き分け以上で自力での残留が決まるが、最近5試合勝ちがない。最終戦の川崎Fには00年に優勝を阻止され、06年は敗れてJ2に降格。すべて最終節だった。そんな因縁もぶっ飛ばすだけだ。

 「今までも同じ状況は経験しているし、最後に点を取るイメージはいつもある」。播戸は気合の半袖スタイルで、チームに白星をささげる。【福岡吉央】