J2札幌は今日16日、Aチームが仙台と、BチームがJFL金沢と練習試合を行う。新人MF堀米悠斗(18)はAチームのボランチとして仙台戦先発が濃厚。開幕前最初で最後のJ1との実戦だけに、アピール次第で一気に開幕切符が近づく。豊富な運動量と強烈な左足ミドルで、96年FW吉原宏太以来、17年ぶりとなる開幕スタメンでのトップデビューを狙う。

 ルーキーでも遠慮はまったくない。15日、堀米はキャンプ地の熊本・大津運動公園で行われたセットプレーの練習では、激しいプレスでボールを奪いアピールした。仙台戦に向け「プロに年上年下は関係ない。3月3日の開幕戦にスタートから出るため、しっかりやりたい」と強い口調で言い切った。

 18歳がチームの心臓部に入る。7日のレノファ山口戦では左足ミドルで1ゴール。14日の長崎戦は精神的支柱でもある主将の河合とダブルボランチを組んで先発し、初完封に貢献した。開幕まで残り2週間。初めてA、Bチーム分かれて行う実戦でも、主力組に残った。「力を試すには、すごくいい相手。自分のどこが通用して、どこが通用しないかしっかり見極めたい」。J1相手の最後のマッチアップで力を示し、開幕切符を引き寄せる。

 河合主将の推薦で新人初の副主将に就任した。前日14日の夜は、風呂場で“アニキ”と長崎戦の反省会をしたついでに、先輩のサッカー人生についても聞いてみた。97年に高卒で浦和入りも、02年に戦力外通告を受け、トライアウトから復活し横浜、そして札幌と渡り歩いた苦労人だ。「若いときからしっかりやらないとダメになるということ。プロとして、いい話を聞かせてもらった」。次代の主将候補生として、男の生きざまを胸にたたきこんだ。

 新人の開幕戦先発は、昨季もDF奈良が果たしているが、トップチームのデビュー戦が開幕戦での先発ということになれば、96年FW吉原以来になる。「(14日の)長崎戦は守備でイメージに近いものが出せたけど、奪ってから攻撃に移るところで手応えがなかった。頑張らないと」。ゴメスの愛称で呼ばれる新戦力が、攻守のスイッチ役としてフル回転し、ルーキー一番乗りでの「3・3切符」を奪いにいく。【永野高輔】

 ◆札幌新人の開幕スタメン

 純粋にトップチームデビュー戦がリーグ開幕戦で、しかも先発だったのは96年FW吉原のみ。04年開幕戦先発のMF鈴木は、U-18所属だった前年度の天皇杯でトップチームデビュー。10年MF古田、12年DF奈良がプロ1年目の開幕戦で先発しているが、いずれもU-18所属だった前年のリーグ戦で、2種登録選手としてデビューしている。