<J2:長崎0-0札幌>◇第10節◇21日◇長崎県立

 敵地で貴重な勝ち点1。札幌は長崎と引き分けた。DFパウロン(23)が左膝を負傷し前半で交代も、5戦ぶり先発の左サイドバック趙成真(22)がセンターバックをこなしカバー。連戦疲れやアクシデントの中、チーム全員で体を張り、今季初のドローに持ち込んだ。鳥取戦から中3日の敵地2連戦で勝ち点4を奪取。プレーオフ圏6位との勝ち点2差をキープした。

 ホイッスルの瞬間、MF宮沢、岡本、深井らフル出場組が、疲れのあまり、ぐったりとうずくまった。たたみかける長崎の猛攻をしのぎきってのスコアレスドロー。財前監督は「引き分けという結果はうちにとってはラッキー。なんとか頑張ってゼロで抑えたのは評価したい」と喜んだ。

 ボロボロの状態でつかんだ意義ある勝ち点1だ。17日鳥取戦から中3日での敵地連戦。指揮官は前日20日、堺でのミニ合宿を打ち上げた後「明らかに疲れが残っている。動きが重い。試合でどうなるか」と不安をもらしていた。予想通り序盤から長崎に主導権を握られ、決定機を何度もつくられた。敗戦も覚悟した中でのドロー劇。手放しで喜べる結果ではないが「敵地2連戦で勝ち点4は、まあ最低限の数字」と前向きにとらえた。

 アクシデントも乗り越えた。前半終了時にパウロンが左膝痛で交代。指揮官は急きょ、左サイドバックの趙をセンターバックに移してしのいだ。本職はセンターバックも2月の熊本合宿から、ほとんどサイドでプレーし続けていた。想定外の事態だったが冷静に対応し「久しぶりだったけど、何とか引き分けに持っていけたのは良かった」と振り返った。11年まで熊本で指導を受けた長崎高木監督の前に立ちふさがり、10年5月22日徳島戦(0△0)以来、3年ぶり敵地連続完封に導いた。

 クラブでは鳥取、長崎の連戦をプレーオフ圏内進出への勝負どころとして遠征メンバーを通常16人から2人増の18人に増やした。結果はドローも、疲労でチーム状態が落ちた中、プレーオフ圏内から勝ち点2差を維持した。もろかったDF陣に粘りも出てきた。それでも櫛引は「3連勝できなくて残念。無失点で抑えたけど、やられてはいけないところが複数あった。改善が必要」と反省。貪欲な勝利への意欲を、ホームに戻る次節熊本戦でしっかり形にする。【永野高輔】

 ◆札幌の敵地連続無失点

 10年5月2日熊本戦(0△0、水前寺)から同22日徳島戦(0△0、鳴門大塚)まで3試合連続で完封して以来3年ぶり。クラブ最長は、00年4月15日大分戦(0△0、大分)から6月17日山形戦(1○0、山形県)まで記録した6試合連続。