<J2:水戸1-3山形>◇第21節◇29日◇Ksスタ

 山形がアウェーで水戸に逆転勝ちし、3月以来となる今季2度目の連勝を飾った。序盤で1人少なくなった水戸に先制を許す苦しい展開だったが、44分にFW林陵平(26)の3試合連続ゴールとなるPKで同点。後半3分に相手が9人になると、32分に途中出場のFW山崎雅人(31)のゴールで逆転、3分後に林の2点目で突き放した。

 沈黙していた前半から一転、火が付いたように攻めまくった。後半3分に相手が2人目の退場者を出し9人になると、全員が敵陣に進入して猛攻を仕掛ける。19分には前線にFW山崎、29分にはDF石川をボランチの位置に投入。敵地に駆けつけた1000人を超えるサポーターに歓喜が訪れたのは32分だった。石川の右CKから、山崎がゴール前で押し込み逆転。右太もも肉離れから復帰したばかりの主将は「前(ニア)ですらして決めるのは練習通り」と胸を張った。

 昨季の前半戦は12勝5分け4敗で首位。連敗は1度もなく、3連勝も2度あった。スタメンを固定したことで成績は伸びたが、主力選手が夏場に疲弊。控え組の底上げができず、後半戦の失速につながった。今季は10試合以上出場した選手が18人。選手層に厚みが増した。そして、奥野監督は選手に言い聞かせてきた。

 「サブの力がチームの力だ」。紅白戦で主力組を圧倒することも多く、セットプレー練習でも簡単にゴールは割らせない。今節スタメン復帰したDF作田は「サブ組の調子が良かったことで、チームも負けなかった。試合に向けて危機感も出る」と話す。失点は21から28に増えたが、得点も32から42と大幅アップ。「誰が出ても力を出せる」(石川)チームになったことが、昨季との大きな違いだ。

 今季、先制された試合は1分け6敗だったが、ベテランが流れを変えて初の逆転勝利。奥野監督は「彼らの経験を流し込んで欲しかった」とたたえた。培ってきたリーグトップの圧倒的な得点力を発揮し6月は負けなし。山形が7位から逆襲の後半戦に臨む。【鹿野雄太】